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植物と話のできる令嬢は気持ち悪いと婚約破棄され実家から追い出されましたが、荒地を豊かな森に変えて幸せに暮らしました  作者: 茜カナコ


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16、春の訪れ

 ドラゴン騒ぎが一段落したある日、アリスは森に入って野草を採取していた。

「つくし、ヨモギ、タンポポ……色々育っていますね。少しだけ分けて下さいね」

 アリスは持ってきたかごに、食べられる野草を摘んで入れていく。

「うん、そろそろいいですね」

 アリスはそう言うと、森から家に帰った。


「さてと。今日は野草のフライを作りましょう」

 アリスはかごから出した野草を洗ったり、水につけて灰汁を抜いたりしていた。

 コンコン、とドアが叩かれた。

「はい、どちらさまですか?」

「マークです。先日は失礼致しました。今日は、患者さんから貰った食べ物をお裾分けに来たのですが……」

 アリスは急いで扉を開けた。


「こんにちは、アリスさん」

「こんにちは、マーク様。こんなに沢山のお肉や卵……ありがとうございます」

「森では、肉や卵は貴重かと思いまして」

 マークは困ったような笑顔を浮かべている。

「どうぞ、お入り下さい」

 アリスはマークを家の中へ案内した。


「いいえ、ここで結構です」

 マークはそう言って、食べ物の入ったかごをアリスの玄関に置いて立ち去ろうとした。

「ちょっとだけおまちくださいませ。今、野草のフライを作っていますから、少しお持ち帰りください。肉と卵のお礼です」

「そうですか? それならお言葉に甘えて、お邪魔します」


 マークは台所のそばの机のそばに立った。

「おかけください」

「はい」


 マークが座るのを見てから、アリスはレモングラスのお茶を入れた。

「どうぞ、マーク様」

「良い香りですね。アリスさん」

「はい。私もこの香りが好きで、このお茶を良く作るんですよ」


 マークがお茶を飲んでいるあいだに、アリスは野草のフライを作った。

「おまたせしました、マーク様。お口に合うと良いんですけど」

 アリスは竹の皮に包んだ、出来たてのフライをマークに渡した。

「これは春の野草のフライですね。貴方のおばあさまも良く作っていらっしゃいました」

「まあ、そうでしたか」

「白ワインに合って、おいしいんですよ。嬉しいプレゼントです」

 マークはそう言って、微笑んだ。



「ありがとうございます。アリスさん」

 マークは空になっていたかごに、アリスから貰ったつつみをしまった。

「プレゼントを持ってきたはずが逆にいただいてしまって申し訳ありません」

「いいえ、野草は森の恵みですから、お礼を言うなら私では無く、森に言って下さいませ」

 アリスはにっこりと笑って答えた。


「そういえば、ブルーノさんは来ていないんですか?」

 マークはふと思い出したように言った。

「そうですね。ブルーノ様は、このところ魔物退治が忙しいそうです」

 アリスは寂しげに俯いたあと、顔を上げた。


「怪我が無ければ良いのですが」

「ええ、私もそれを心配しております」

 マークはアリスに礼を言うと、町に帰っていった。

「ブルーノ様にも、野草のフライをご馳走したかったのですけれど、残念です」

 アリスは机の上にフライ入った皿を並べ、ひとりで夕食を取り始めた。


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