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異世界がどうとかキモいネット小説を読んでる叔母さんから聞いた話

作者: 尻鳥雅晶

 年間6万人なんだって。


 ホントすごい数よねえ……

 ウチの子も、そのひとりだったってことだけどさ。

 最初はね、トラックのそばで倒れてたから、てっきり轢かれた、って。

 んなワケないよねえ、トラックは駐車場に止まってたんだから。


 皆勤賞だって取ってるんだよ?

 元気すぎて困るぐらいだった、ホントに。

 なのにゴミ出しに出たら、荒木さんとこの駐車場で倒れてるじゃない?

 それでも、ぜ……ぜ……って妙に間延びした息はしてたから、声かけても答えなかったけど、少し安心した。

 荒木さんの旦那さんに助けてもらって家に運んだの。


 でも、そういう息してる時点で、もうダメだったんだよね。

 すぐ心臓マッサージとか、AEDとかしないと、間に合わなかったんだよね……


 なんで!なんで!どうして!? って、思ったよ。


 医者に聞いて、警察に聞いて、学校だってあの子の友達だって、もうホントにクルったみたいに、何か知らないか、変なところはなかったか、って問い詰めて問い詰めて、聞きまくった。アキちゃんにも夜中に電話しちゃったよね。


 ……聞かれるほうは、ホントに迷惑だったよね。ゴメンね。


 わたし、何を見つけようとしてたのかなあ……

 たぶん、何か納得できる理由がほしかったんだよね。

 ウチの子のブックマークも、そのとき見つけたの。


 うん、最初はくだらない、って思ってた。わたしも。

 ゲームみたいな異世界って(笑)。しかも、そればっかりのワンパターン(笑)。

 でも、あの子が夢中になった話なら、っ思って。

 だからいくつか読んでみたの。


 ヘンなことを考えるようになったのは、

 ウチの子と同じ名前の主人公が出てくる話を見つけたときね。

 すごい数の人が書いてるんだもん、そういう話だってあるよ。


 そう。


 ゲームみたいな異世界が、宇宙のどこかにホントにあって……

 ウチの子みたいに理不尽な死に方をした人が、そこで元気に暮らしてるって……


 ああ、大丈夫、大丈夫。

 そんなこと、現実にはありえない、って判ってる。絶対。

 ……ホントだよ?

 ホントだったら。

 少しもそんなヘンなこと、思ってないったら(笑)。


 でもね。


 心臓突然死みたいに、理由なんかない馬鹿げた現実があるんなら、

 異世界転生やら転移やら、

 理由なんかない馬鹿げた不思議だって、起きるかも知れないじゃない?


 そんな不思議を……そう……


 信じられるかも知れない……じゃない?


 そう思ったら。


 少し……少しだけ、ストンって、こう……何か納得できた気がしたの。

 信じた、からじゃない。

 信じられるかも知れない、って思っただけで、ね……


 それにさ。


 あの子が最後に思ったことが……

 つらいとか、悲しいとかじゃなくて……

 異世界に旅立つときが来たんだ、って思ったかも知れないじゃない?


 たぶん……


 世の中にあふれてる、どんなくだらないって言われてるものでも……

 アキちゃんの言う、キモいのでもさ……


 それがあることで救われてる人は、きっとどこかにいると思う。

 だから、ホントは見下したりしちゃいけないんだ。


 まあ、確かにワンパだけど(笑)、そういうものだって割り切ると、結構面白いよ?























読んでいただき、ありがとうございます。

拙作はご指摘に応じて改善する用意があります。

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