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七光りBREAK!!  作者: 芦田
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門出と王女と告白と⑤

 怒涛の自己紹介が終わり、今日の予定は始業式とHRだけだった為そのまま学園初日は終わりを迎え、俺は学園寮の前まで帰ってきた。

 進学初日早々疲れきった俺は、一気にご飯を平らげ、さっさと風呂に入り自分の部屋のベッドに倒れこむ。

 ……まさか、この国の王女と同じ学校生活を送る事になるとは。しかも隣の席で性格は最悪。……嫌な予感しかしない。

 俺の学校生活これから大丈夫なのだろうかなどと、不安な気持ちになりながら目を瞑る。


「王女かぁ……。そういえばあいつは何してるんだろうな……」


 そんな事を呟きながら俺は深い眠りについたーー。



 ーー翌日。

 とうとう、俺がずっと憧れ続けた、夢の学園生活が始まる!

 ……事はなかった。

 なぜなら学園初日からその存在感で猛威を振るっていた、サングリスタ王国王女ステラ・ロビウム。

 この女がなんのつもりか知らないが、やたら俺に絡んでくるのだ。

 しかもこの女、王城から出る事自体初めてだったらしく、常識が全く通じない。

 人の事を言える立場ではないが、一応俺は小・中共に一般学校に行っていた為、ある程度の常識は身につけているつもりだ。

 そんな非常識な王女様からその話を聞いた時、俺はようやく始業式の朝いきなり蹴られた理由を知った。


『疑わしきは罰せよ』。


 それが父から、いや、サングリスタの現国王から言われ続けた忠告らしい。

 どうやら、ここの親も相当な親バカらしい。私みたいな可愛い女の子は常に発情した男共から狙われるから、怪しいと思ったら有無を言わさずぶちのめせと。

 ……親子揃ってなんてハタ迷惑なんだ。一瞬目が合っただけで誘拐犯扱いされ、蹴りを入れられた俺からすればたまったもんじゃない。……なので、あまりこの女と関わりたくないのだが……。


「プリム、次の体育一緒にペア組みましょ」

「嫌だっつってんだろ」


 ここのとこ席が隣という事もあるが、学園生活をほとんどこの女と過ごしている。

 それだけならまだいいのだ。だが、無知なこの女が奇行に走るせいで俺まで変な目で見られている気がする。


 ーーそれは青空が澄み渡り、太陽が照りつける朝の事。


「プリム、『お金』って何?」

「命の次に大切な物だ」

「なっ……なんですって……あのパン屋の親父、そんな物を私に要求してたの⁉︎ ……ちょっとぶっ飛ばしてくる!」

「待てコラァァァ‼︎」


 ーーそれは穏やかな昼時でも。


「チキンサンド定食1つ」


 午前の授業が終わった俺は、当たり前のようにこのお嬢様に呼び出され俺達は学園内にある購買に来ていた。

 どうやらこのお嬢様はずっと前からこの食堂で大人気の『チキンサンド』を食べてみたかったらしく……。


「はい、チキンサンド定食ね。300カーツだよ。」


 食堂のおじさんがステラにそう言うと。


「ッ……!この親父ぃ‼︎」


 血相を変え食堂のおじさんに掴みかかるお嬢様を必死で食い止める。


「プリム、どいて! この親父、私にお金を要求してきたのよ⁉︎」

「順当な対価だこのバカタレが‼︎」


 ーーそして帰りのHRが終わり、みんなが帰宅の準備をしている午後でさえも。


「……そう、これが『お金』なのね。そういえばパパからたくさん貰ってたわ。私てっきり、変わったちり紙だと思ってたわ……使ってないけど」


 そう言ったステラを無言でジーっと見つめると、フイッと目を逸らすお嬢様。

 この女……金でケツ拭いたのか……。

 俺が頭を抱えると、ステラの顔が赤くなりいきなり教室で暴れ出した。


 ーーそんなこんなで最初は王女様と奉っていたクラスメイト達も何をしでかすか分からないステラを見て、今となってはみんなかなり困惑してる状態だ。


「プリム、途中まで一緒に帰りましょ」


 学校が終わり、いつものようにお嬢様から誘いを受ける。


「……今日はちょっと用事が……」

「何バカな事言ってんの。さ、早く帰るわよ」


 ……バカな事を言った覚えはないのだが。

 もちろん用事があるというのは嘘なのだが、本当にあったらどうするつもりなんだこの女は。

 何を言っても意味がないと諦め、俺は深くため息をついて、ステラについて行く。


「なぁ……お前は何で俺につきまとうんだよ」


 帰宅中、ずっと気になっていた事をステラに聞いてみる。


「あのねプリム。私は『お前』じゃなくてステラよ。何回同じ事言わせるのよ」

「……分かったよステラ。で、何で俺につきまとうんだよ」


 聞いてみた物の、なんとなく理由は分かっている。

 どうせ、親が普通じゃない同士だからとか、常識が無い者同士だからとか、ただ単純に俺が扱いやすいからなのか。まあ、そんなとこだろう。

 ……今思えば、こんな奇行ばかり走るお嬢様の考えを予想しようとする事自体バカげていたと思う。

 ステラの答えは俺が、いや、誰にも想像できないようなものだった。


「何でって……プリムが好きだからに決まってるじゃない」

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