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第一章第52話 不知火城の戦い6

 笑わせてくれる。

 鳳凰程度で我を退けると思ったか……。


 撫子は銀太の目を見て凍りついた。

 純粋に殺意のみの眼。

 この眼には覚えがある。


「信長様……」


 魔王信長と同じ目つき。

 だけど私には鳳凰がいる。

 勝つ事は出来なくても相殺はできるはずだ。


「人間如きに使役された鳳凰が我と対等とでも申すか?」


 撫子は銀太の問いかけに冷や汗をかく。

 そもそも、撫子の鳳凰で魔王信長を相殺できるのなら最初から神子に頼りはしない。


「汝の頼りの鳳凰、砕いて見るのも一興か……」


「え?」


 銀太は左手をかざした。

 銀太の左手の空間が揺らめき、やがて揺らめきが具現化する。

 そこに現れたのは撫子の鳳凰の体躯の五倍近い大きさの鳳凰。


「…………」


 撫子は諦めたかのように目を瞑った。

 しかし、いつまで待っても最後の時は訪れない。

 撫子はそっと目を開ける。

 最初に見えたのは黒衣の服を着た少女らしきものの後ろ姿だった。


「…………」


「あの時の死神か……」


 銀太は呟く。


「外道なる者よ、探したぞ……」


「…………フェルナンデスさん」


 撫子はその黒衣の死神を知っていた。

 撫子が閻魔丸を飲み、地獄に行った時に自分の試験官をしていた死神。


「………撫子、小梅、力を借りるぞ」


 フェルナンデスは大鎌を構えた。


「力を借りるぞって、あれをどうにかする術があるんですか?」


「ある。 が、時間が必要でね。 お前たちにはその時間稼ぎをしてもらいたい。 そういうわけだ、見習い。 貴様も加勢しろ」


 フェルナンデスがそういうと影から一人の少女が出てきた。


「は、はい」


 その少女は、地獄で銀太の案内役を勤めていたティックスだった。

 銀太が現世に戻る時、巻き込まれてしまい一緒に現世にきてしまっていた。

 なんとか銀太を探し、保護してもらおうとかけずり回り、銀太を手抜川で見つけたものの、銀太が目の前にいるのと同様に、信じられない魔力を発している。

 さすがに馬鹿と評判のティックスも、慎重になり、銀太に近づかず、遠くより銀太の行動を見張っていた。

 死神の仕事は、魂の保護と共にもう一つ、重要な仕事がある。

 現世で予定調和にない大量の死を生みかねない存在の排除。

 目の前のフェルナンデスはそれを生業とする死神であり、死神にとって憧れの仕事である。


「ほう、地獄の時、世話になった死神もいるのか」


 銀太が自分を覚えている事に恐怖を感じるティックス。


「お、お久しぶりです」


「では、三人とも、時間稼ぎを頼むぞ」


 小梅と撫子は頷く。


「左近、義継、やっちゃえ!」


 小梅の声と同時に左近と義継が銀太に向かって突っ込んでくる。


「使い魔風情が、愚かな」


 左近の振り上げた巨大な刀を右手で受け止め、その刀をへし折る。

 へし折った刀をそのまま、左近に投げつけ、左近は真っ二つになり、消えていく。


「え?」


 左近が消えていく寸前、小梅を見て口を動かした。


「逃げろって……、左近!?」


 左近を呼ぶが、左近からの返事はない。

 銀太の左手にいた巨大な鳳凰は小梅めがけて飛んでくる。


「あ…………」


 義継が呆けている小梅を突き飛ばした。


「義継!?」


 義継も鳳凰の炎に飲み込まれ、消滅した。


「ほう、忠義者な使い魔だな」


 銀太が感心しながら言った矢先、銀太めがけて撫子の鳳凰が飛んでくる。

 鳳凰は銀太の手から離れた今が好機と、撫子がその隙を逃さず、自分の鳳凰を放ったのだった。


「ほう」


 銀太はニヤリと笑った。


「喝!」


 銀太が叫ぶと、鳳凰が四散する。


「そんな……」


 銀太はゆっくりと撫子の方に向けて歩いてくる。


バキン!


 意識を撫子の方に向けていた銀太は背後から忍び寄ってきたティックスに気付かず、そのまま鎌で斬られそうになった。

 しかし鎌は銀太の背中に接触した瞬間、小気味良い音を立てて砕けてしまう。


「む、無理ですよ、先輩!」


 自らの獲物が砕け、パニックを起こしたティックスがフェルナンデスに助けを懇願するように喚いた。

 銀太の刃を刺すような視線は、撫子からゆっくりティックスに向かう。


「ひ……」


 死神はいうなれば肉体という器がない。

 肉体あるものの死は肉体が朽ちた状態の事をさすが、死神の死はいわゆる消滅だ。


「や、やだやだ……」


 涙目になりながらティックスはふるえる。

 銀太はティックスの袖に手をつかみ言った。


「流石に汝を殺すと陽の我が黙ってはいないだろう。 よって退場願おうか」


 銀太はそうティックスに囁く。


「え?」


 ティックスの体の周りに青いオーラのようなものが湧く。


「な、なにこれ?」


 銀太がニヤリと笑うと、ティックスはその場から消えた。


「な、なに、今の?」


 気付くと小梅、撫子の体の周りにも青いオーラが纏う。


「部外者にはご退場願おう」


 撫子、小梅、共々銀太のその言葉を最後にその場から消え失せた。


「惨い事を……。 魂ごと滅消したか」


「失礼千万な。 我にも慈悲はある。 遠い彼方に飛ばしただけよ」


「遠い彼方? まあ、いい。 あの三人のおかげで準備は整っ………」


 気付くとフェルナンデスの右胸に銀太の腕が突き刺さっていた。


「くは……」


 フェルナンデスは血を吐く。

 しかし、フェルナンデスは自分の胸に突き刺さっていた銀太の腕を掴み、ニヤリと笑う。


「何がおかしい?」


「いやな、労せず貴様を捉える事が出来た。 これで成せる。 我が秘技がな」


「……」


「貴様の肉体には2つの魂がある。 一つは保科銀太。 もう一つは人工56神器、闇」


「ほぅ……。 気付いたか」


「貴様を封じ込め、保科銀太の状態で肉体を滅する」


「なる程。 妥当な策だ」


 それを聞いても銀太は笑っていた。


「成せる事出来ればの話だがな」


「何?」


「その技はまだ完全ではないということよ。 寝起きの我ですら封ぜる事叶わぬ」


「やってみればわかること」


「無駄だ」


 フェルナンデスは術の行使を行おうとした矢先、フェルナンデスの体からも青いオーラが纏いだす。


「死神如きに術の行使速度は負けんよ」


「くっ」


 フェルナンデスは悔しそうな顔をして、消えていく。


「……さて」



 銀太の意識はそこで途切れた。


この話をもって提督立志伝、序章、第一章含めて百話達成です。

連載開始は7年9月……。

二年かけて100話って、だいぶのんびり更新ですね。

てか飽きっぽい私がよく100話も続ける事が出来たもんだと何気に驚いています。

ここまで続けられたのもこんな勢いとノリで書いているハチャメチャな作品を見捨てず読んでくれたからです。

この場を借りて御礼申し上げます。

ぐーたら物書き、ふじぱん

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