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右の拳と左ミドル 【筋トレとバトルの小説】  作者: 松明ノ音
第一話 始める春の初め
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ようこそ春校へ!③


「「かっっこいい!!!」」

 ヒロもハルも、四年前の中学一年生の時、マサに憧れて、リンコに惚れた。そして、マサとリンコの恋愛模様にも、涙を流して感動した。初恋のようなものを散らした二人は互いに、俺たちのマサなら喜ぶべきだ、と慰め合って、また号泣した。

 元々家が近く仲もよかった。マサとリンコの人生がそれぞれ映画化されたものは、何度も二人で観に行ったし、二人の恋愛ドラマはヒロの家で並んで観た。

 二人が揉めるのは、マサの上半身と下半身のどちらが素晴らしいか、ということぐらいだった。

 結局、どちらも素晴らしく、あとは好みの問題、ということに落ち着いた。

 上半身に憧れたヒロは鍛え、爆発しそうなほど前にせり出た大胸筋と、凧のように広い広背筋、ぶっとい丸太のような腕を得た。

 下半身に憧れたハルは鍛え、爆発直後の爆弾のような大腿筋と、巨大なガゼルのような下腿三頭筋を得た。靴で隠れているが、爪先から足首の筋肉まで鍛えており、異常な形をしている。

 二人とも、上半身や下半身を疎かにしているわけではない。ヒロの下半身もハルの上半身も、真剣に鍛えている人間が見ても、一目置くほどだ。

 ただ、鍛えたいそれぞれの半身の鍛え方が、異常なのである。

 東京五輪から、筋トレ人口は超増大しており、この春の宮高校の全生徒も、筋トレをしている。

「ヒロ、高校は春校?」

「当たり前だろ?」

 これが、二人の中学で進路希望調査を手にした時の会話だった。

 春の宮は、日本一筋トレを推奨している高校であった。学長である『春の宮一馬』は、シニアのボディビル選手でもある。体育館とは別に筋トレ館があり、学長自ら生徒たちのフォームチェックを行っている。

 生徒からは親しみを込めて「妖怪バーベル爺」と呼ばれ、自らは「バーベルの精」と称している。いかがわしい由来ではない。多分。

 体育館の一部に筋トレルームがあるという高校は、教育に熱心でないという流れだ。実際、都市ではそんな程度の低い高校は、少ない。地方の私立高校でありながら、最初から筋トレ館を建てていた学長は、慧眼とも言えよう。

 また、春の宮は『体育』とは別に『筋トレ』を必修科目に取り入れた、全国初の高校でもあった。

 公立高校で『筋トレ』が必修科目になったのは、去年からであり、その修了課程と指導方法を春の宮から取り入れたというのだから、評価されるべきだろう。

 春の宮一馬は調子に乗って本も出版して、ベストセラーとなった。その資金で、来年からボディビル高校生大会を、高校野球が終わった後の甲子園で行うよう働きかけているという噂が、まことしやかに流れている。真実かどうかは、定かではない。


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