06
短め。
多少の残虐表現があります。
ヴァレアは隣の少年を見てぷくっと頬を膨らませた。
少年は勿論、ザカリーである。
ザカリーは片手に細身の剣を持っていた。
剣に空いている掌をかざすと刃を囲むように炎が纏った。
「ズルい」
何が狡いのか。
あのドリンク事件(?)の翌日からクラレンスに言われて剣を持ってきたことなのか。
ザカリーが剣の扱いがなかなか優れていていることなのか。
あっという間にコツを掴んで刃に魔法を纏わせていることなのか。
何も狡くはないのだが、10歳の少女にはなにか悔しいと思えて仕方がなかった。
・・・前世から数えると30歳のはずなのだが。
その自分はというと、攻撃系統はセンス無しとはんだんしてもいいだろう。
魔力を練ることはできるのだが、どうも殺生に躊躇いがあるためブレが生じてしまう。
その代わり、というわけではないが、補助系統の魔法は随分と慣れてきた。
ザカリーが駆けていくその足元に魔法を走らせ速度を上げて、筋肉強化と防御壁を張る。
器用にザカリーが攻撃する瞬間だけその部分のみ、防御壁を完全に無効にする。
1ヶ月も修行すればそれこそ自分たちよりも少しばかり格上の魔物を相手に立ち回る術も覚えてきた。
だけど攻撃を使う者と補助を使う者、どちらの魔力が成長するのに早いかと言われれば前者だ。
得手不得手はあるものの、助けた時はどうだったのか分からないがザカリーはヴァレアよりもずっと魔力を持っていて、なおも成長していた。
「・・・ズルい」
再び口から出た、いや、気の緩みは力にも表れた。
本日の魔物、オルトロスはその緩みに気が付いたのか防御壁へ強引に体当たりしてきた。
「ひやっ!」
強引に防御壁が突破されて、ぐらりとヴァレアの視界が歪む。
すぐに持ち直そうと顔を上げて、その視界にザカリーの右腕に牙を立てたオルトロスを捉えた。
「っっっいや!!」
無我夢中で練り合わせた魔力を全て掌に集めた。
「ダメだ!!!!!」
クラレンスが必死に止める様子など全く見えてなかった。
その全てをオルトロスの中心へと込めると「爆ぜろ」と冷たく言い放った。
一面に肉片と血が飛び散りそれを確認するとそのままヴァレアは意識を閉じた。