行ってきます!
コンタクトをつけようとしたその瞬間、まつ毛に少し手が当たった。
「いったぁぁーい!」
また遺伝かよと嫌になる。何があったかというと、逆さまつ毛が、目に入ってきた ただそれだけ。
しかし、父から天パ 母からは逆さまつ毛といらないどーでもいいような遺伝子ばかり受け継いだ。だが、学力は足して2で割っても俺の学力の圧倒的上をゆく彼らだ。
情けない現状だ…
「いってきます」
と、誰もいない家に向かって言い俺は双葉の家の前に向かった。
★ ★ ★
学校は、いつもと同じようにただ淡々と終わるはずだった。いつものように双葉と学校へ行き、山坂や仲の良いクラスメイト達と話して、ダラダラと授業を受けて、部活をする生徒達のことを横目で見ながらかえるはずだった。
(察してほしいのだが、俺は帰宅部っす)
しかし、今日はそういかなかった。まずは、朝の時点で先生が違った。朝のホームルームで教室に入ってきたのは、元気に”グットモーニング”と言いながら入ってくる担任の真鍋 真也先生ではなかった。
クラスのガヤガヤが一気に静かになった。入ってきて、教卓の前に立っている人間にクラス全員の視線がむけられる。この時、クラスにいた俺を含めたこのクラスに所属する人々つまりは、このクラスの40人は更に驚いた。
”Good morning everyone!”
急に教室に入ってきた彼女は、そう言い放った。
(パードゥン?)
誰もが心の中で思ったであろう。まず、流暢すぎておはようの挨拶すらギリギリ聞き取れたくらいなのだ。更にもう一つ、この人態度的にあれだ、
そう、なんというか先生っぽい
だが、違うのだ 見た目は、なんと驚き俺らと大差ない10代(Teen-ager)なのだ。
私服だし、制服が届くのが遅れている転校生(仮)という認知でみんなはいくらしい。しかし、そうしたら担任の真鍋先生はどこだろう。と、ふと思った次の瞬間。
「着席!」
と、転校生(仮)が大きく張りのある声で言い放った。ヒトという生き物は大声で何か叫ばれたり、命令されたりしたら、基本 弱々しく”はい…”と言ってしまったり、言われたままのことをしてしまう。その為、うちのクラスの人間つまり、俺を含めた40人全員が着席し…ちゃく…
あれ?一席空いている。しかもそこは幼馴染の真斗の席ではないか!今更ながら自分の座席に座りながら思った。
"山坂真斗がクラスにいない"
これは、事実だ。しかし、それと同時にその事実を信じられない自分がいた。なぜかと言うと、山坂は小学校から昨日まで雨の日も風の日も、雪が降った日も1日も学校を休んだ事がないからだ。
今更に気付く長年の友人の不在。
よくあるよね、普段から側にいて近くにいて当たり前たわいも無い話を一緒にして当たり前の存在である山坂 真斗 (やまさか しんと)が、同じ空間にいない。
しかも、それを自分が気づけない…
彼は俺が休んだ時とかにはお見舞いに来てくれたり、手紙を出してくれていたのに、俺は、幼馴染の、山坂の不在に気づけなかった自分に嫌気がさした。
教室の前の方で、転校生(仮)だかなんだか知らないが、可愛い女の子がクラス全体に向け今日1日の連絡や注意事項などを伝えている。しかし、今は山坂のことで頭が回らないし、話を聞く気になれない。そんなこんなで、ホームルーム終了のチャイムがなりホームルームは終わっていた。