飯だぁー
「し、失礼ね!第一、あなた達に貸してあげた服!!あれどう考えても工場がなきゃ作れないでしょ?!ジャージがそこら辺から生えてきたりするとでも思ってるわけ?さらに言うけど、私達の国の沿岸部は東京にもひけをとらないくらい発展してるんだよ?」
全て初耳である。確かに出会ってすぐに貸してもらったユウナの父の服は工業製品だったし、(そういえば、真斗はタグがチクチクして痒いとか言ってた気がする…) 街で見かけた人の中にはプラスチック製のメガネを掛けた人や自転車に乗ってた人もいたわ。
でもさ、"たまたま"俺らが行ったのが異世界の中でも特異な街で、そこが魔法使いを輩出しやすい土地柄だなんて…ついてないよね
「い…言われてみたらそうかもね。部屋の電気とか全部LEDぽかったし。そ、そうだ!ユウナは魔法の適性が高い場所うまれなんだよね?どのくらい凄いの?俺、知りたいなー」
ユウナの得意な話で話をすり替えよう…
「あのさ…街の中でも並みかそれより少し上くらいしか適性がないって言わなかったっけ? リオ 当てつけは良くないヨ?」
ユウナさん怖いです。リオくんは悪意があった訳ではないのです!
その後はなんとかユウナに許してもらい、散々魔法のレッスンを受けた。
★ ★ ★
一体どのくらい時間が経っだのだろう…
今、俺の身体は凄く脱力している。庭の芝生が心地よくてゴロゴロもしている。"満身創痍" というものだ。俺の出身中学校は秋になると30キロ近くを走る行事があったが、それに似た疲れだ。ふと、近くで同じように伸びているユウナに声を掛ける。
「ユウナ、夕飯にしようか?」
ユウナと二人で学校帰りに山坂宅を訪れ、魔法のレッスンを始めたのが午後5時。そして今は…
「今…何時…に…なったの?」
息が上がりながらユウナが聞いてくる
まだ寝転がっていたいと告げる重い身体に鞭を打って、俺は立ち上がる。そして、少し離れたテーブル上のスマホを見る
「午後8時だってさ…」
「え?もう!?てゆうか、少し調子に乗りすぎたなぁ〜…元々なかった魔力を搾り出してリオに高度な魔法まで教えちゃったよー♪」
「途中でこんな魔法いつどんな場面で使うんだろ?ってのいくつかあったぞ!」
「いやー、リオの飲み込みが早いのと 底なしの魔力が私のことを調子に乗らせたんだよー。つまり、リオが悪いね!」
「いや、俺悪くなくね?!てか、これ真斗の為なんだよねー?」
「も、もちろんだよ!てか、それよりまず飯だぁー!飯をだせぇー!」
もうダメだ…ユウナがジ○リの人喰いキャラになり始めた。
「本当にどうする?一応食材あるけど…」
もしかしたら、ユウナ(黒髪ショートの美少女)による手料理イベントがあるかもしれない…でも、"作って欲しい"とか言うとがっついてるみたいで嫌だし…そんな葛藤など知らずにユウナが無慈悲な事を言う
「んー。今から作る気力とかないから、弁当買ってきちゃうか。」
"あー…やっぱりそうだよなぁ…"そんな俺の気持ちを察したのかユウナがクスリと笑って
「何?リオは私に夕飯作って欲しかったの〜?」
と、からかってきた。このまま引きづられても困る…そうだ!
「うん…実はユウナの料理が食べたかったんだよ…別にやましい意味とかじゃなくて。ほら、俺さ 両親が今家にいないからさ、他の人が作る料理とか食べられないから…(嘘だ、双葉がたまにお裾分けを持ってくるし、朝飯も基本双葉に作らせている)」
「あ、そう…なんだ。今度リオの都合がいい時に電話して!私もこっちの世界だと一人暮らしだから、一人の晩餐は少し寂しいなって思い始めたの…でも、今日はほんとに疲れちゃったからお弁当でいい?」
すごい、ユウナは優しい子だなぁと近所の人目線になってしまいそうだ。
「あぁ、手料理は今度頼むよ。でも、こんな寝そべったりしててどうやって買いに行く?」
「もちろんこれよ!」
そう言って。ユウナがポケットから出したのはなんの変哲も無い水晶。
「満月の夜とかに月の光を当てると、魔力回復の道具になるんだよ!身近な物だと、スマホのモバイルバッテリーみたいな感じで持ち運びできるやつ。このタイプは二人分くらいは回復できるって店の人が言ってたよー」
「そんな便利な道具があるなら、最初から使わせてくれー!!」
閑静な住宅街にリオの叫び声が響いた。




