第二の父
ここは山坂家 1Fリビング。中央にあるダイニングテーブルの座席には山坂真斗の父(先程から出ているゴツい男)である山坂 哲裕さんが座り、それに向かい合う形で俺とユウナが座った。
ちなみに、哲裕の子である真斗は異世界から帰れなくなっている。どちらも座ったのはいいものの、どう話を切り出すのか分からないので、ものすごい緊張感が漂った。しかし、その静寂は哲裕の一言で終わった。
「リオ、お隣に座っている子は君の彼女なのかい?」
★ ★ ★
小さい頃から両親が仕事の関係で家にいなかった俺や双葉にとって哲裕さんは第二の父だ。小学生の頃ぐらいには、キャンプに俺と双葉を連れて行ってくれたり、遊園地に連れて行ってくれたり、俺や双葉は休日をいつも山坂家と一緒に過ごしていた。そのためもあり、哲裕さんや哲裕さんの奥さんには感謝してもしきれないほど沢山の思い出や温かさを貰った。だから、、、そんな恩人には嘘をつけない。なのでハッキリと言った。
「付き合ってません!」
リオは少し顔を赤くして興奮気味に。
ユウナは不満そうに頬を膨らませ。
哲裕は二人に対して凄く申し訳なさそうに肩をすくめて
三者三様とはまさにこの事だと、三人はお互いの反応をみて思ったのであった。
ユウナが俺たちの関係や真斗が異世界に行った事(行く前に、家族には俺の家に泊まって来ると言い残して異世界に向かったらしい)、そして今現在は異世界に一人で取り残されている事を伝え、更にはユウナがガス欠で転移魔法が使えない事を掻い摘んで話した。
終始、哲裕は険しい顔をしなかった。(え?怖っ!自分の息子さん取り残されてますよー?)
そして、こう言い放った。
「つまりは、俺からその魔力を貰いたいって話だな。理由は、大人であり今まで魔法とは無縁の生活を数十年も送ってきたから。いいだろう、俺は二人を信じてる。だから、俺からその魔力とやらをちゃっちゃと吸い取ってくれや。そんでもって、うちのバカ息子を連れて来てくれ!」
そう言った哲裕さんの顔はどこか清々しい感じがした。
★ ★ ★
「いやーん!触らないで!」
「ジッとしていて下さい!手荒な真似はしたくないです。」
哲裕さんとユウナのアホみたいなやり取りを買い物から帰ってきた哲裕さんの奥さんの暁子さん[つまりは、真斗の母ね] と俺は生暖かい目で見ていた。
ユウナが哲裕さんの魔力を吸い取る準備をしている間に暁子さんが帰宅し、俺と半裸の哲裕さんが事の次第を説明したのだ。(半裸なのには訳があり、より心臓に近い場所から肌を通して魔力を吸い取るのが一番効果的なのだとか…)そんな感じで二人で生暖かい視線を送っていると、突然 ユウナの手が光りだし、
「Omo!(オゥモ!)」
と、ユウナが詠唱した。それから先はよく分からない。光が眩しくて何が何だか分からなかった。しかし、ユウナ曰く
「こんな沢山の魔力を体に取り入れたことなんてないので、びっくりです!なんか、なんでも出来そう!私、空も飛べるかもしれない!」
なんて、やばい事を言い始めたので足早に山坂家を後にした。




