ウェルカムトゥー異世界
これは、マジでやばい。
目の前にいる黒髪の紅い瞳の美少女を見て俺は思った。
「この子マジで天使じゃね?!俺いつ死んだの?!」
俺は思わずさけんだ。
「いや、俺は金髪ツインテがいい!」
と、どっかで聞こえる。
しかし、どうしたものか、自分が覚えているのは、学校の帰りにいつも通りスーパーにより、割引になったパンや朝ごはんの材料を買って帰宅。
その後…ん?その後なにした?!
「なんか寒いなー」
なんか、聞き慣れた声だ。
と思い、周りをみると、そこにはヲタク仲間の山坂がいた。
さらに言うとすぐ側に黒髪ショートの美少女がいた。この子はなぜか顔を赤くしている。
声の主は、俺がいるのに気付き、叫んだ。
「おぉ、雲雀ヶ丘も来たのか!ウェルカムトゥー異世界!」
どうやら、俺らの身にははとんでもない事が起きたらしい。
てか、そこの美少女なんか喋りなよ…
★ ★ ★
急に自分の事を語るが、「俺」つまり、雲雀ヶ丘理央は、日本でフツーの男子高校生として生活を送っていた。(過去形になっている時点でかなりヤバイな。)
学力は平均やや下で、何故か文系はやけに出来る。
学校は、偏差値がある程度の近場の高校に通っている。
ついでだから彼についても語ろう山坂真斗は、俺と同じ高校に通う生徒で、クラスメイト、さらに言えば、ヲタク仲間(彼は同志とかいうときもある)
今、俺らは所持金ゼロの装備なし。言葉は通じるので安心している。
そして、町のはずれに部屋着で転移。
今は、少女に逃げられた所である。しばらくは、口論になっていた俺らだが、今は落ち着いてボーっとしてる。
しばらくしてから、少女が戻ってきた。(よかったー。俺ら逃げられたんじゃないんだ…)
「お父さんから貰ってきた服だけど、サイズ合うかなー?」
急に声をかけてきた。しかもかなりの美声。
「うん、サイズもぴったりだ」
と、山坂が言った。いつの間に慣れてんだよこいつ…。何気に山坂はコミュ力高いからなぁと、感心していると、少女がこんなことを言う。
「いえいえ、古い服なんで大丈夫です。辺りも暗いですし、うちに来ますか?」
真斗のやけに荒い鼻息が聞こえた。(気のせいだといいなぁ~)
「そういえば、お名前は?」
ふいに、少女に聞かれた。
「私はユウナ、あなたは?」
「俺は、雲雀ヶ丘理央16歳だ。」
「俺は、山坂真斗。同じく16歳で理央とはダチだ。」
「えっ?!二人も16歳なの?!一緒だね~」
その後は好きな食べ物やら趣味の話をしているうちに町の中心についていた。ちなみに、ユウナの趣味は鷹狩りだとか…怖い怖い。
「えっ?ここが中心なの?」
町の中心の様子を見た俺は驚きのあまり口にしてしまった。
町の建物を一言で言うと、「不格好」である。建物の形が明らかに"変"だ。
どっかの駆け出しアーティストが作った作品のように、センスのない人間からすれば変な形にしかみえない建物ばかりだ。
例えば、町で一件しかない八百屋は三角形柱を横倒しにした建物だ。
屋根が傾いていたので、ユウナに聞いた。
「この辺って雪降るの?」
彼女の答えはNO。さらにしばらく行くとユウナが役場だと言う建物が見えてきた。でかいバースデーケーキにお菓子の箱を乗っけたような、なんとも言えない形の建物だった。
「この町ってアートの町かなんかか?」
真斗はユウナ聞いた。