続続・たかしの独白
親父は単身赴任先に帰っていった。
たかしはたかしの日常に戻り、親父は親父の日常に戻っていったのだろう。
「いってらっしゃい」母親の声を背に家を出る。
結局、あいつらと一緒に過ごす日常は取り戻せなかった。それでも毎日は続いていく。
主人公同盟は解散となり、熱狂的なモテ方をする奴はいなくなった。
ただ今は新モテ四天王が生まれつつあり、会長は改革をあきらめていないらしい。
「じゃ、放課後な!」学校で、キヨとも久々に遊ぶ約束をした。
休み時間。いつもねとりたちと会話を交わしていた教室の窓際には、もう誰もいない。でも確かに一緒に過ごしたんだ。
妄想は相変わらず加速し続けている。今でも目があった女子は、全員俺のことを好きなんじゃないかと思うようにしている。不良から女の子を救いだすシミュレーションはバッチリだし、幼馴染と再会してもスマートに対応できる自信はある。
放課後。校門でキヨを待つ。
ふとした時に、つい考えてしまう。自分は何か変わったのだろうか。
とりあえず、今まで以上に勉強を頑張ってみようと思っている。少しだけ筋トレもしてみようかと思う。
いつ成果が出るかはわからないけど、何かを続けてみたい。まあ三日坊主になるなら、それはそれで自分らしいということなのだろう。
もし少しでも変われたら、あいつらは笑ってくれるだろうか。
「もう何カッコつけてんの!」女の子の声にふと振りかえる。
幼稚園児だろうか、負けん気の強そうな女の子が、男の子の手をグイグイ引っ張っていた。
あの男の子もいつか気づくのだろう。女の子と無条件に遊べる幸せな時期は、なかなかないんだということに。
もし、またいつか、ねとりたちと会える日が来るなら、それはいつになるのだろう。
それまでに、今までより、もっと多くの女の子と出会っておこう。成長した自分を見せられる日を、たかしは楽しみにしている。
すっかり高くなった空の下で、ふと思う。
自分が変われば世界も変わるのだろうか。理想も妄想もひっくるめて、たかしの現実。
出会いと別れを積み重ねて、日常に支えられた日常は、これからも続いていく。




