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【転生】【異世界】【最強】【ハーレム】なんかクソくらえだ!  作者: 泥水啜
【転生】【異世界】【最強】【ハーレム】なんかクソくらえだ!
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続・たかしの独白

 久々の学校。緊張したが比較的みんなはすんなりと受け入れてくれた。風邪が長引いたということになっていたので、だいたいが身体の心配をしてくれた。

 表面上はいつもと変わらない。ただ少しだけ変わった部分もあるようだ。


「裏ハーレムが作られているらしいさ」そう教えてくれたのはキヨだった。

 どうやら、今まで主人公同盟が囲っていた女子生徒たちが、別のところへ流れているらしい。


「放課後、体育館倉庫に行ってみろ」


 その言葉に従い、たかしはひっそりと倉庫の中をうかがった。

 そこには数名の女子生徒。チャラそうな男が二、三人。中心にいたのは、作者閏だった。

 女を椅子にする勢いで、閏は女生徒達に接待を受けていた。するとこちらに気が付いて、笑顔で顔を歪ませる。


「いらっしゃい」


「随分お楽しみのようで」


 たかしの言葉に、閏は手を前で組んだ。


「おかげさまで。イマジネ使いのライバルが、ほとんどいなくなったからな。一人くらい分けようか?」


「自分の相手は自分で見つける」


「で? 何の用だ?」


「借りを返しに来た」


 まっすぐ前をみるたかしに、閏はため息をつく。


「勘違いするなよ? おまえが今まで勝てたのは、イマジネがいて、さらにおれの助けがあったからだ。今のおまえは、なんの力もない、ただのモブさ」


「モブにはモブの意地がある」


「意地だけで勝てるほど甘くない。作者はおれだぞ?」


 閏は取り捲きに視線をやる。


 取り捲きの一人はおもむろに、たかしの腹に一発叩きこんだ。続けて他の連中も、たかしに集中攻撃を浴びせる。


 倒れこむたかしに、閏は冷静に言い放った。「これでわかったろ? 帰れ」

 だがたかしはボロボロになりつつも、静かに立ちあがる。


 閏はうんざりした表情を浮かべる。


「そういうのもういいよ。熱い展開とか流行んねえんだよ。女たちと、ぬるく日常を送れればそれでいいんだ。消えたイマジネは戻ってこない。おれと戦っても無駄だ」


 その言葉とともに、閏はたかしを一発ぶん殴った。続けてアゴで、ミクに指示をやる。


「決めてやれ、こいつの未来を」


 ミクは頷くと、ノートに未来を書き始めた。


『結局たかしは、閏たちに手も足も出せず、そのまま深い深い絶望の闇に沈んでいった』


「……だが立ち直った」


 たかしは、ふらふらのまま立ち上がる。

 ミクは慌てた様子ですぐに別の文言を書き足す。


『いや、でも無駄なんだ。その想いには逆らえず、たかしはすべてをあきらめた』


「けど持ち直した」

「なん……だと……?」閏が目を見張る。


「確かに作者はお前だったのかもしれない。だが、演じていたのは俺だ。作者がいなくなっても、生き続けるキャラがいてもいいだろ!」


 たかしは吠える。


「生きている限り、俺はおまえに戦いを挑み続ける。永久に、根競べだ!」


「ふざけるな! そんな面倒くさいこと……」


「なら俺を殺すか? 女のために、人ひとりの命を奪う覚悟があるのか!?」


 たかしは静かに吐き捨てた。


「一生……一生だ! 俺はお前に食らいついてやる」


「何を馬鹿な……そんなこと、ありえるわけないだろ……」閏は半笑いだった。


『だが心の中で後悔していた。もしかしたらおれは、とんでもないモンスターを育ててしまったのかもしれない』


「!?」


 ミクが読みあげている文言。それはゲスノートに書かれた、閏の心の声だった。


『ハッキリ言っておびえていた。何をしだすかわからない、奴の雰囲気に』


 閏は慌ててミクに言う。「おい、やめろ! 書くのを止めろ!」


『閏は必死の思いでミクを止めた。だが』


「止まりません!」


 ミクの腕が、何かに引っ張られるようにスラスラと動いていく。


「まさか……暴走?」


『溢れかえるような閏のネガティブな感情が、そのままイマジネに伝わっていってしまったのか。元々気の弱い閏だ。否定すればするほど、負の感情はより強く噴き出していった』


「おい、やめろ!」


『閏は思った。このままでは負けてしまう』


「……最初から負けてたんだよ。戦わずにモテようとした時点で」


 たかしは拳を握り、右腕がちぎれそうなほどのパンチを、閏の顔面に叩きこんだ。


「そげぶ!」


 閏は吹っ飛び、床に転がっていく。


 取り捲き連中も逃げ出し、倉庫にはたかしの呼吸音だけが響いた。褒めてくれる相手も、けなしてくれる相手もいない。たかしは、フラフラになりながら、倉庫の扉にもたれかかる。


 すると倒れていた閏が、唸りながら息を漏らす。


「前に話したよな……おれには好きな子がいたって」


 そのままたかしの足にすがりつく。


「たとえどんなに惚れても、どんなに愛しても、おれらの想いなんか結局は届かない。ポッと出のイケメンに、軽く持っていかれるのさ。そうなってもおまえは、いつまで運命の相手とやらを探し続けられるかな……」


「無論、死ぬまで」


 やがて何かと決別するように、たかしは歩みを進め、体育倉庫の扉をガシャンと閉めた。

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