表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【転生】【異世界】【最強】【ハーレム】なんかクソくらえだ!  作者: 泥水啜
とある体育と文化の頂上決戦
69/82

第64話「咆哮×殺陣」

 たかしのピンチに駆けつけた人物。

 それは獅子王タカヒロだった。


「……どうして?」


「いや、買い物帰りに見えたから、ついな」そう言ってコンビニ袋を見せてくる。


「そうじゃなくて。なんで助けたんだよ?」


「アンタのことは気に入らねえ。

 けど、男二人でパコを痛めつけてるコイツらのことは、もっと気に入らねえ」


 蹴り飛ばされた龍ヶ崎が立ちあがる。


「……元イマジネ使いだな」


 その言葉に不来方も、獅子王を睨み付けた。


「キミが例の問題児か……」


「将棋野郎とアメフト兄ちゃん、アンタら、揃って優秀なんだってな?」


 獅子王は余裕の表情を見せる。


「けどな、ケンカにはケンカの作法があるんだぜ?」


 膝をついていたたかしも、ようやく体勢を立て直す。


 たかし・獅子王組と、龍ヶ崎・不来方組の、二対二で対峙する形になった。

 数の上では二対二だが、こっちのイマジネは全員封じられたまま。

 不利なことに変わりはない。しかも一人は手負いでボロボロだ。

 たかしの不安な心境を察したのか、獅子王は顔をしかめる。


「ちょっとやられたくらいでビビりすぎ。どうせこの程度の妄想、腐るほどしてきたんだろ?」


「なんでそれを……?」


「パコから、たまにもらうメールに書いてあった。年中妄想してるクズみたいな野郎だ、って」


「……間違いない」


「けど、こうも書いてあったぜ。やる時はやる男だ、って。

 そりゃそうだ、オレを倒すくらいの男なんだからな」


 その言葉にたかしの視界がすっと開ける。

 ねとりたちに視線をやると、全員がしっかりと頷いてくれた。

 そうだ、自分が自分を信じなくてどうするのだ。

 おいおい、完全にバトル物の主人公だな。たかしは両手で頬をパンと張ると、頭をフル回転させる。


 強敵との戦いなんて、ずっと妄想してきたはずだ。

 絶対攻撃に絶対防御。そんな絶望的な状況で相手をいかに倒すか。

 龍ヶ崎はこっちの作戦を確実に読む。そもそも頭の作りが違う。

 付け焼刃で、相手の思考を超えることは不可能だろう。だとすれば……。


『ケンカにはケンカの作法がある』


 たかしは、はっと気づく。そうだ、これはケンカなのだ。いわばなんでもありの世界。


 今までは、一人でどうにかしようとしていた。だが獅子王が来て状況は大きく変わった。

 これだけはいくら龍ヶ崎でも読めなかったはずだ。

 そう、奴だって万能ではない。読めないことはいくらでもある。


 すると、すべてが繋がった。思考が読まれても、最強の能力を持たれても、勝つ方法はある。

 だが、それだけではダメだ。ただ勝つだけでは、たかしの気が済まない。

 法家やパコを傷つけたことに対する償いがなければ、真の意味での勝利にはならない。

 何かないのか。奴らを後悔される、いい方法が……。


 と、応援し続けるオーウェンと、浮かせた駒を手で遊ばせている御絶の姿を見て思いついた。

 彼らに対抗する方法を。今まで得た、すべての経験でぶつかれば不可能ではない。


 最強であるが故に、彼らは最大の欠陥を抱えているのだ。

 それはまるで、最強の矛と盾にまつわる故事のように。


 たかしは思いついたことを、ぼそぼそと獅子王に伝える。


「……それマジ?」


 獅子王は一瞬きょとんとしたが、やがて覚悟を決めたように前を見据えた。


 その様子を見て、龍ヶ崎が唇の端を歪ませる。


「何か思いついたようだな」


「おまえには関係ない」


 たかしは一旦気合を入れなおす。


「ちょっと借りるぞ」


 獅子王の持っていた袋からスポーツドリンクを取り出し、一口含んだ。

 口の中の血をゆすぐと、ペッと吐いて、そのままドリンクを袋に戻す。

 一度やってみたかったのだ。戦いのさなか、血反吐を吐くボクサーみたいなやつを。


「よーし、それじゃ」


 たかしの声に、獅子王も呼応する。


「いっちょいくか」


 戦いの第二ラウンドが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ