第63話「性の奴隷解放宣言」
龍ヶ崎は告げた。
「貴様のイマジネの権利をすべて放棄しろ。そうすれば女に手は出さない」
「放棄?」
「貴様はイマジネで、相手のイマジネを奪ってきたんだろ?
その能力を解除しろ。そうすればイマジネたちは一旦消滅した後、元の能力者たちの中に戻る。
それで主人公同盟が復活できれば、僕たちは満足だ」
「それだけでいいのか?」
「ああ。後は一切イマジネを呼び出さないで暮らせばいい。
卒業まで、普通の一般生徒として、学園生活を終えるんだ」
「普通の……生徒……」
踏まれたままのパコが叫ぶ。「言うこと聞かなくていい! ソイツが約束守るはずない!」
「たかしさん……」法家が辛そうにうめく。
「こんな乱暴なの、もうヤダよぅ」
泣いているインリを見て、ねとりは悔しそうに唇を噛んでいた。
「なんなの……なんなのこれ……」
みんな不安な顔をしている。イマジネたちの運命はたかしに委ねられてしまった。
普通の生徒に戻る。
もしかしたら、それでいいのかもしれない。
すべてが元に戻るだけだ。入学した頃の、あの頃の自分に。
「別に……二度と会えない訳じゃないよな」たかしは覚悟を決める。
後は指令を出すだけだった。だが、なかなかその言葉が出てこない。
なぜだ? 元に戻るだけなのに。
と、今日、ねとりたちとじゃれあっていた光景が脳裏に浮かぶ。その時、ようやく気づいた。
ああ、自分は楽しかったんだ。
ぬるま湯みたいな、他愛もない生活が楽しかったんだ。終わりたくないと思っているんだ。
その時、ようやく犬神の言っていた言葉の意味がわかった。
『せっかく私だけの楽園を作り出したのに』
なんてことはない。犬神にしたことを、今度は自分がさせられるだけだ。
人から奪った生活は、人に奪われて終わるだけ。
たかしは重い重い口を開いた。
「ねとり。おまえが持っている、すべてのイマジネの権利を――」
「おいおい、オレの立場はどうなるんだよ」
言葉とともに、物陰から男が飛び出してきた。
男は龍ヶ崎に飛び蹴りをいれると、たかしをその場から解放する。
男を見上げると、そこには見覚えのある顔があった。
「おまえ……」




