第60話「穴熊って響きなんかエロいよね」
そのままスタンガンが叩き落とされてしまう。
「何!?」
驚くたかしに、龍ヶ崎が淡々と告げた。
「相手の武器は知っておく。それがこっちの武器だからね。
僕が前もって対策をアドバイスしておいたんだ」
不来方がチラっとシャツをめくる。
中に着込まれていたのは雨ガッパだった。
こちらのスタンガンを読んで、絶縁対策をしていたということか。
「おいおい、読みすぎだろ……」
当然、龍ヶ崎も同じ物を下に着こんでいるだろう。
まさかそこまで用意してくるとは。
ここまで奇策が読まれたのは、今までの勝負の中で初めてではなかろうか。
「ちょっと疲れてきたケド、いけいけ! ゴーゴー!」
オーウェンの応援が響く。
「くっ……」
ならば次は! 壁に押し付けられながらも、かろうじて動かせる指で合図を送る。
同時にパコは龍ヶ崎本体を狙い、数本の矢を放った。
矢はすべて龍ヶ崎に突き刺さった、
と思いきや、彼の前に御絶が立ちふさがり、攻撃は完璧に防がれてしまう。
「不来方に攻撃が効かないのなら、僕本体でも狙おうと思っていたんだろう?
だが無駄だ。御絶は僕に関しては自動的に守ってくれる。さらに……」
龍ヶ崎が指を三本立てると、突然将棋の駒たちが動き出す。
「ちょ!」「なに!?」
ねとりやインリ、パコに法家までもが、駒に追いやられるように、一か所に集められた。
彼女たちは完全に駒に囲まれてしまう。
「陣形『穴熊』」
望代は扇子を動かし、ぽつりと呟いた。
「何これ……矢が出せない……」
パコが何度もケータイをいじっている。
法家が駒を叩くがビクともしない。
「これ、結界です!」
「ふぇぇ、ウィンクしても何もできないよぅ」
インリが目をパチパチさせすぎて、ただのまばたきの多い人になっていた。
イマジネ能力が全員封じられてしまった。これでは彼女たちに頼ることもできない。
「ご主人!」
ねとりが叫ぶが、その声もほぼ耳に入ってこなかった。




