第57話「くっ、アバラが何本かいったか……」
すると突然、オーウェンが不来方の肩から飛び降りる。
「いくヨー!」
同時に両手のポンポンを振り、応援を始めた。
「レッツゴー、マナブ! レッツゴー、マナブ! イェス!」
「よーし! とりあえずご挨拶だ!」
不来方は右の掌をこちらに向けると、ダッシュと同時にそれを槍のように突き出し、突っ込んできた。
「えええっ!?」
慌ててかわした脇腹のすぐ横を、えぐるような風が通り抜ける。
「ちょ、そんなの当たったら折れるから!」
「そうか? アメフト部の連中なら、一時間悶絶するくらいだぞ?
俺はこの技を『スピアー』と名付けている。
たとえ骨が二、三本いったとて問題ない。骨は折れてこそ強くなるんだ!」
「あれ? バカなのかな?」
脳筋先輩を相手にしている暇はない。傷つく前に、こっちもイマジネを発動する。
「インリ! 反発!」
「オッケー」
ウィンクとともに、インリは不来方に青い稲妻を落とす。
同様にたかしにも青い稲妻を落とした。
これで互いに反発し合い、不来方がたかしに触れることはできなくなった。
後は遠隔攻撃で、向こうのやる気をコツコツ削れれば……。
するとオーウェンの応援の声が強くなった。
「ノー、負けないですヨ! ゴー、ファイッ、ウィン! ガンバレ!」
足を上げたり、バク宙をかわしたり、行動がどんどん派手になっていく。
たかしの目も自然とそちらを向いてしまう。主にスカートの中身にだが。
すると不意に、不来方の全身が光を放ち始めた。
「なになになに、自爆でもすんの!?」
ねとりが慌て始める。
「来るよ!」
パコが注意を促す。
同時に、不来方は一直線で突っ込んできた。そのままのスピードでスピアを繰り出す。
だが青い稲妻に不来方の右手は阻まれる……
と思いきや、不来方は両足を踏ん張り、右腕を突きだした体勢のまま粘り続けた。
バチバチという青い稲妻の壁が発生する。
「ぬううううう……ふんぬっ!」
掛け声とともに、稲妻の壁が突き破られた。
「なっ!?」
貫いた不来方の手が、たかしのわき腹を突き刺す。
勢いが殺されていたにもかかわらず、その一撃でたかしはぐるんぐるんと、軽く数メートルは吹っ飛ばされる。
「……つぅ……いてぇ」
「ど、どどどどどういうこと!?」
ねとりがあたふた。
「ひにゅにゅにゅ!? 反発が効かないよぅ」
インリは半泣きだった。
たかしも目の前の出来事が信じられなかった。
「もしかして、今のが彼のイマジネ能力……」
法家が冷静に分析した。
不来方は堂々とした態度で腕を組む。
「隠すつもりはない。先に言っておこう。俺の能力は『攻撃の絶対有効化』だ」
そう言ってオーウェンに目をやる。
「オーウェンが応援している間なら、俺の攻撃は絶対に当たるようになっている。たとえ相手がどんなイマジネを使おうが関係ない!」
「イエス! だからオーウェン、全力で応援しますヨー」
攻めにステータスを全振りしているわけか。
なるほど、身持ちが固い女もイチコロな理由がわかった。
「なら……」
攻撃される前に、こっちから攻撃するしかない。
目には目を、歯には歯を、イマジネにはイマジネを。
「パコ!」
「はいはい」
「オーウェンの応援を止めろ!」
パコは手馴れたもので、指令を出すと同時に、矢を打ち出していた。
オーウェンの動きを止めてしまえば、能力は無効化される。
「おー、ノーです!」
矢がオーウェンの身体に当たろうとした、その寸前。突然現れた何かに矢が弾かれた。
「は!?」
「させないよ」
オーウェンの後ろから今度は、別の男と女が現れた。




