第55話「一方通行」
「いつになったら男の恰好させてくれるんですかぁ……」
今日の法家の格好はバニーガールだった。
本当は三五七にさせたかったのだが、彼女が仲間に入らなかったので、法家で代用していた。
前回の戦利品ではないが、胸を寄せて上げるテクで、
法家の胸もそれなりに見られるようにはなっている。
「これで触れれば言うことないんだがな……」
たかしは、宙を揉みながら愚痴を吐いた。
「この顔なら可愛がりたくなるよねえ」
ねとりが法家の顔をツンツンする。
「肌のケアの仕方、教えてもらおっかな(最近肌荒れヒドくて)」
そう言いながら、パコがたかしの膝の上に座ってきた。
「おい、何してんだ」
「いいでしょ、どうせ感触ないんだから(むしろ喜んだら?)」
「おもしろそー、インリも混ぜるのー!」
インリも飛びついてきて、肩車の状態。なんだかカオスなことになってきた。
「なになに、組み体操? コマネチ! ってやつ?」
ねとりも楽しそうに笑っている。
そんな状況にふと気付く。……あれ? これ、結構充実してる?
イマジネが増えたことで、なんだか華やかなスクールライフを送っている。
ねとり、パコ、インリ、法家は男だが、この四人は、学校の中でもかなりの美形の類だ。
毎日虐げられているが、それはそれでアリ。
周りから見えない楽園、たかしキングダムが着実に築かれている。
どうせ現実の女の子に触れられないのなら、こうやって仲良く彼女らと関わっているだけでいいかもしれない。運命の相手など見つけずとも、物語はここで完結じゃないか?
そういえば、隅田とは二度と戦わない代わりに、三五七のイマジネ能力を教えてもらった。
金で確率を買う能力。まさかイマジネに金を遣うとは。あの女、どんだけ金が欲しいんだ。
幸いたかしは、部活もやってないし、お年玉をためているので、金にはそれほど困っていない。
いざというときに、ドカンと使ってみるか。
「横溝君、ちょっといい?」
すると、鬼姫から呼び出しを受けた。
やはり来たか。
さっきからチラチラこちらを見ているので、そろそろだと思っていた。
世良鬼姫。彼女は本当に、主人公同盟の関係者なのだろうか。
たかしを警戒しているのは、学校の風紀を乱すからなのか、
それとも同盟に目障りな存在だからなのか。
そもそも主人公同盟とはなんなのだろう。今のところ、結成された目的も、行動も不明だ。
そんなことを考えながら、廊下に連れ出される。
鬼姫は、ため息とともに言葉を吐き出してきた。
「また騒ぎを起こしたみたいね? 監視カメラに、貴方が女の子に言い寄る姿が映っていたみたいだけど」
こっちも探りとして、適当に返事をする。
「ずいぶん詳しいな?」
「ごめんなさい。知らないところで何か問題が起こるのが嫌なだけなの。クラスの責任、ひいては委員長である私の責任になるから」
「本当にそれだけか?」
たかしの言葉に、鬼姫の眉がピクリと動いた。
「どういう意味?」
「そっちこそ、何かよからぬことを企んでるんじゃないのか?」
鬼姫は何かを察したように微笑む。
「なるほど……昨日見張ってたのに気づいてたのね」
「じゃあやっぱり――」
「思い込みの激しいタイプみたいね。目の前の事実、それだけを見ていると道を誤るわよ」
たかしは先ほどの鬼姫と同じセリフを返す。
「どういう意味だ?」
と、鬼姫の背後からひとりの大男が現れた。




