第54話「ヤツは四天王の中でも……」
暗闇に座る二人の男。
「隅田は手を引くそうだ」
筋肉質の男はそう言ってケータイをしまった。
「それは残念だな」
細身の男は冷静に言う。
「だが奴は四天王の中でも……」
「最強」
「……だよな? 僕、勝ったことないし。確率決められちゃ、手も足も出ないし」
細身の男は軽くため息をついた。
「それで引き分けとか、油断し過ぎだろ」
「これからどうする?」
肉体派の男は困ったように眉をひそめた。
「俺はもう、ほっといてもいいんじゃないかと思ってるんだ。少しくらい風紀乱れても――」
ガチャっと扉が開き、一人の人物が部屋に入ってきた。
「何か言った?」
その声に、二人は慌てて直立不動の姿勢になる。
「お疲れさまです!」
その人物は筋肉質の男を睨み付ける。
「放っておいてもいいと聞こえた気がするのは……気のせいか?」
「気のせいです、気のせい」
「まあ、そうだろう」
その人物は冷静ながらも、熱のこもったトーンで告げた。
「もう一度だけ言う。どんな手を使ってでも、横溝たかしを止めろ」
筋肉質の男も、細身の男も膝をつく。
「もちろんです、ボス!」「仰せのままに」
ボスと呼ばれた人物は、何も言わず、ただ顔の前で両手を組んでいた。




