第45話「二回戦 揺れる重い」
◆二回戦 先攻:横溝 後攻:隅田
『調子は悪くない』
相手、横溝たかしはそう思っていることだろう。
だとしたら、それはこっちの思惑通りだ。
隅田は相手には見えないよう、笑みを浮かべていた。
三五七は腰に手を当て、自信満々で横溝たちの様子を見つめる。
「さあて、あちらさんは何を出してくるかしらね?」
「初戦はお互いにDカップを出した。普通に考えれば、Dカップの次に強いCカップ辺りを出してくるのが定石だろう」
すると横溝は、意外にも迷うことなく、早々に女子をスタンバイルームに導いた。
「セット」
「……早いわね?」三五七も警戒気味だ。
「こっちに動きを読ませないために、さっさと選択を済ませたんだろう。ここは早々に引き分け狙いかもしれない。そんな安全策を取ってきたとしたら、ここらで勝っておけば大きい」。
実際、後攻は有利だ。顔を見て観察すれば、気づくこともある。
と、突然会場のドアが開き、女子生徒が入ってきた。
「すいませーん。ここに来るように呼ばれたんですけどー」
「えっ、あ、ごめん! もう人数集まっちゃった」とたかし。
その瞬間、隅田に電撃走る。
女子生徒はたかしと少し話をした後、不満そうに会場を出ていった。
「すいません、ちょっとした手違いで……」
たかしがへらへら笑うが、隅田の目はすでに違うところに向いていた。
扉が開き、中に日が差したせいで、一瞬カーテン越しに、スタンバイルームの女の子のシルエットが透けたのだ。
ショートカットで、入口の方を振り向いたのか、つるぺたの身体がよく見えた。
「あれはAカップに違いないわね……」と三五七。
「なるほど、いきなりこっちのEカップを取りに来たか。あの男、かなりの勝負師だな」
「それで、どうするの?」
「そうだな。とりあえずCカップ辺りを出したら、負けはないだろう。だが、あまり強いカードを使い切ったら、後々の勝負が辛くなる。この勝負、最小限の力で勝ちを確保しておきたい」
「じゃあ、被害を少なめのBカップね」
「ああ、万が一向こうがBカップだとしても、最低でも引き分けに持ち込める」
隅田側も女の子をセットし、判定を待つ。
「それじゃあ……オープン」
犬神の声とともにカーテンが開かれる。
横溝側から出てきたのは、細身でショートカットの女の子だった。
「あれは確か……陸上部のエースの子ね! 私でも知ってるわ」
横溝側、隅田側の女の子を中央に集め、犬神が計測を始める。
胸の大きさからいえば、明らかに隅田側の方に分があった。
「それではジャッジに入ります」
隅田はほっと胸をなでおろしていた。
「なんとか一勝か。だがこの一勝は小さいようで大きい。そう、どんなに小さな胸でも一勝は一勝なのだ。一勝一分けで第三戦に挑めれば――」
「おまえは甘い」
たかしの声が、隅田の呟きを打ち破った。




