第36話「キッツキツの女物のパンツ」
ねとり、パコ、インリ。そこに新しいメンバーが一人加わった。
その子は、たかしの理想の格好をしているため、ついまじまじ眺めてしまう。
Tシャツ一枚に、胸が強調される斜めがけのカバン、パツパツのミニスカート。
少し肉の乗ったニーソックスが、オシャレのポイントだった。
舐めるように見回すと、その子は顔赤らめ、スカートを伸ばしデルタゾーンを隠そうとした。
「おいおーい、照れることないだろ。男同士なんだから」
そう、その子の名は法家明。
結局、ねとりの間接キス的なものでいただき、仲間に引き込んだのだ。
素材が良かったので理想の格好をさせてみたわけだが、
想像以上に女装が似合っていた。
「似合うね」「足すべすべ(毛剃ったの?)」「許せない」
ねとり、パコ、インリは思い思いの感想を述べつつも、法家の女装はおおむね好評のようだ。
「うう、あんまりジロジロ見ないでください!」
法家の照れている姿がさらにいい。
そう、これは辱めなのだ。本人がノリノリでは征服感が満たされない。
さらに、なにが素晴らしいって、この法家をどうにかしても合法なのだ。
ふざけあって、スカートの下のキッツキツの女物パンツを降ろしても合法。
女相手なら大問題だが、男相手ならボロンするだけで、世間の目は許してくれるはず。
実際に触れられないのが残念だが、むしろそれでよかったのかもしれない。
変な気を起して、こっちの世界に帰れなくなるところだった。
「わー、ホント足綺麗だねえ」
ねとりがふとももに触れると、法家は視線を泳がせながら身体をビクビクとさせていた。
「ちょ、あんま触ると……」
「え、いいじゃんいいじゃん?」
おいおい、今頃のスカートの中の女物パンツが
大変なことになってるんじゃないだろうか。
そんなアブノーマルライフを過ごしていた昼休み。不意に教室がざわついた。
何事かと視線を泳がせると、教室の入り口に副会長の姿があった。
うちのクラスに何か用だろうか。
さっそくクラス委員である鬼姫が出迎える。
「副会長、何か御用ですか?」
「いや、今日はキミじゃないんだ。えーと」
副会長はたかしの姿を見つけると、ちょいちょいと手招きをする。
「横溝君、ちょっといいかな?」
途端にクラスの雰囲気が、あいつ何かしたのか的なものになる。
特に鬼姫からの視線が痛かった。
教室の外へ連れ出され、たかしは少しビビりながら尋ねる。
「あの……なんでしょう?」
すると副会長は神妙な顔で答えた。
「最近、身の回りで危険なことはなかったか?」
イマジネ使いとの戦いはあったが、それ以外は別に思いつかない。
「いえ、特には……」
「実は、生徒会に怪文書が届いたんだ。
『女を食い物にする横溝たかしを、決して許してはならない』と」
「は? 俺モテなくてヒーヒー言ってる方ですよ?」
「だろうな。ただ、会長が万が一の可能性があると言うので様子を見に来たんだ」
なるほど、真面目な会長らしい。ただ心配されるのは少し嬉しくもあった。
「会長の命令とは言え、色々大変ですね」
たかしは副会長をねぎらう。
「別に苦にはならんよ。これで問題が起きれば、生徒会の責任になりうるし、
すべては会長のため、ひいては学園のためだ。
そもそも彼を会長に立候補させたのは、僕だからな」
副会長は、ピッチリした髪型と同じ、真面目な顔で言った。
そういえば会長は、会長になるまでは劣等生だと言っていた。
そんな人の才能を見抜き、今でもサポートし続けているのが副会長なのだろう。
たかしにもそんな仲間が欲しいものだ。
「まあ、用心に越したことはない。何かあったら知らせてくれ」
「はい、ありがとうございます」
副会長が立ち去るのを見送って、たかしはねとりたちと話し合う。
「怪文書とか……俺、狙われるようなことしたっけ?」
「相当恨まれてるんじゃない?」とねとり。
「キモいからしょうがないね(臭いし)」パコがメールを打ちながら言う。
法家が顎に手をやり、悩むポーズを見せる。
「けど、生徒会にそんな文書を送って、なんのメリットがあるんでしょう?」
「ひにゅにゅっ、もしかして、なんちゃら同盟の人たちが、
ゲロシャブを実生活の方で潰しに来たとかー?」
インリが楽しそうに笑った。
確かに素直に考えるのであれば、これも主人公同盟の仕業だろう。
しかし疑問の多い集団だ。たかしを潰して、なんの得がある?
当然、話し合いに答えなど出るわけもなく、たかしは大人しく教室へと戻っていった。




