第34話「DTのSHIT!」
「主人公同盟の詳しいことは犬神さんに聞いてください」
だが、法家の視線を受けた犬神は首を横に振るだけだった。
「詳しいことは何も知らないの。私は、四天王の中でも新参だから」
「四天王?」
「ええ、主人公同盟四天王。私はそのうちの一人」
犬神はキーを叩く。
「実は、他のメンバーに会ったことはないの。
これで音声通話をしたことがあるだけだから。
八木沼をスカウトしろっていう指令が出たから、法家をスカウトに向かわせただけ」
「本当か?」
「今さら嘘をつく理由はないでしょう? 同盟の目的はわからない。
ただ……求めていたんだと思う。同じ力を持つ人間を」
「イマジネ使いを集めているということか?」
「ただ、貴方のことは恐れているのかもしれない。
八木沼と接触しないよう、彼に反発の力を使わせたくらいですから」
たかしはふと思い出す。
「そういえば法家。鬼姫とは、どういう関係なんだ?」
「ああ、それは僕が同じ生徒会ですから。
生徒の規律についての話をしていただけです」
すると、何かを思い出したように顔を上げる。
「けど、そういえば……」
「なんか思い出したのか?」
「いえ、珍しく、部活の調子はどうと聞かれたんです。
『貴方たちの活動には期待しているから』って」
「期待? この部に何を期待していたんだ?」
「さあ? これは僕の推論ですけど……
もしかしたら彼女もあそ部を探っていたのかもしれません」
法家の言葉に犬神も頷く。
「ええ。実は最近、私のデータベースにハッキングがあったんです。
おそらくは彼女の仕業。まさか……彼女もお姉さま狙い!?」
「それはないから」
冷静にツッコみつつも、答えは出ない。
世良鬼姫、彼女はいったい何者なんだ。
聞ける話はこれくらいか。まあ、隠し事があれば、後はねとりが見つけてくれるだろう。
「じゃあ仕上げに、法家は貰っていく」
意外にも犬神は反論しなかった。
「仕方ないわ。勝負に負けたんだから。
遊びに優しく、ルールに厳しく。それがあそ部」
さっそくねとりが能力奪取の儀に入ろうとする。
が、そこでたかしは、あることに気づく。
「ん? ねとり、おまえ、法家とキスするのか?」
「そうしなきゃ奪えないけど……」
「ちょっと待て」
ねとりを止めると、彼女はニヤニヤとゲスイ笑みを浮かべる。
「あ、やだもー。ご主人ったら、もしかして嫉妬してる?
あたしが男とちゅーするからって」
「そんなの……当たり前だろ!」
「えっ?」
たかしは正々堂々言い放った。
「俺より……俺より先に異性とのキスすませてどうすんだよ!
イマジネにまで先越されるとか……末代までの恥だろ!」
「あ……確かに正論っすね、ハイ……」
いくら自分の能力とはいえ、それは我慢ならない。
「童貞の嫉妬って臭い(アンタで末代な気がするけど)」「わーい、ゲロシャブドーテー」
「うっさい!」パコとインリを怒鳴りつけ、しばし考える。
だがどうする? 法家をこのまま放置できるのか?
正直男はいらないのだが、能力自体は魅力的なものがある。
法家は自分がどうされるのか、少しおびえている様子だった。
その様子は男の自分から見ても、結構可愛い。
思わずつばを飲み、ふと思いついた。
「ちょっと法家にやらせたいことができたんだが……」




