第26話「うちの体育館が突然ダンジョンに!?」
結局、あそ部の連中にたかしは、校外まで連れ出されていた。
現実の女に囲まれて、ぞろぞろと移動するのは、なんとも不思議な気分だ。
「うちの部長がすいません」
法家の謝罪に、佐知と美知の双子コンビが続く。「ごめんねー」「すまんのー」
りょーちんがあっけらかんと笑った。
「こうなったらキミにも本気で遊んでもらうしかないね!」
「遊ぶって、いったい何を――」
「さあ、着きましたわよ!」
朱鷺の声とともに到着したのは、建設中のイベントホールのような場所だった。
「なんだここは……?」
「朱鷺財閥が建設した、今度オープンするアトラクション施設です。
貴方達には、そこのテストプレイヤーになってもらいます」
犬神は、カタカタとキーボードを打ちながら答えた。
中に入ると広々とした空間が広がる。
天井がやたら高く、運動にもコンサートにも使えそうな空間だった。
法家が不安そうに尋ねる。「それで部長、今日の遊びは?」
「貴方たち二人には、鬼ごっこをしてもらいます!」
朱鷺が両手を広げた。
「ルールは単純。この中の限られたフィールド内で勝負をしてもらいます。
アキラが先に逃げて、それを貴方が三分後に追いかける!
逃げるアキラを、時間制限三十分以内に捕まえれたら貴方の勝ち。
逃げ切ったらアキラの勝ち。単純かつ完璧なルールですわ!」
「らしいですけど、どうです?」と法家。
「別にいいよ」
とにかく早く済ませて、法家に話を聞きたかった。
普通なら分が悪い勝負だが、法家はそれほど足が速そうにも見えない。
だが油断はできない。こっちをなめているのか、まだイマジネの姿を見せてはいない。
相手が力を発動させる前にケリをつけなければ。
「勝てるの?」とねとり。
「足は速くないが、粘り強さには自信がある。
小学校の頃の鬼ごっこで、女の子ばかり追い続けていた経験がここで生きるとは」
「あはは、キモーい」「(死ねばいいのに)」
インリとパコの罵倒はスルーして、たかしは一人気合いを入れた。
ターゲットが法家なら、なんとかいけるだろう。
「余裕、とか思ってるんじゃありません?」
そんなたかしの顔色を察してか、朱鷺は何かのスイッチを押した。
ゴゴゴゴゴゴゴという地鳴りと共に、地面から次々と何かが飛び出す。
そびえたつ壁、モニターのついた柱、ウェルカムと書かれた入場ゲート。
いくつもの仕切りができ、次の瞬間、ホールの中は、
あっという間にダンジョンのようなアトラクションとなっていった。
「な、なんじゃこりゃあああ!」思わず声が出る。
「ふっふっふー。アイデアは私たちが出したのだー」「のだ!」
「機械装置工作は私が」犬神が眼鏡をくいっ。
「作業はボクが!」とりょーちん。
「金はアタクシの朱鷺財閥が!」
朱鷺は堂々と宣言する。
「この施設は全員で作り上げた物。遊びに優しく、ルールに厳しく。我らそろって――」
「あそ部!」
「つまり、あなたが戦っているのは、あそ部の総意なのですわ!
オーッホッホッホゴッ! ゴホッ! オゲフウ!」
「部長、そんな笑い方するからむせるんですよ……」と法家。
「うるさいですわ!」
まあいい。一度受けた勝負だ。やってやるしかない。
「じゃあすいませんが、僕が先に逃げますね」
法家が一足先にゲートへと向かう。
「アキラ! 負けるんじゃありませんわよ! それでは……」
朱鷺が手を挙げ、思い切り振り降ろした。
「よーい、スタート!」




