第23話「僕は友達が少ないけど、セフレはたくさんいる」
女子三人が加わったことで、たかしの回りもだいぶにぎやかになった。
「ねえねえ、お姉ちゃんー」
いつの間にかインリがねとりにベタベタしている。
「何したんだ?」
不審に思い、ねとりに尋ねると、ねとりは意味深な笑みを浮かべた。
「昨日の夜、ちょっとね」
パコが退屈そうにケータイをいじる。
「ふーん、仲良いんだね(どうりでなんか聞こえたと思った)」
「あれれー? パコちゃん、嫉妬ぉー?」
「べ、別にどうでもいいし!(ちょっと羨ましいとか言えない)」
「ふふーん。じゃあ、今夜は三人で楽しもっか」
ねとりが両腕にパコとインリを抱く。
「じゃ、俺も一緒に」三人の輪の中に入ろうとすると。
「アンタのことは、まだ認めたわけじゃない(それにちょっと臭いし……)」
「黙ってろゲロシャブ」パコに続いて、インリも吐き捨てた。
「……はい」
何この男女不平等社会。
この世の不幸を全身で嘆いていると、パコが思い出すようにケータイから顔を上げた。
「そういや、あの子にかけられていた力の解除はどうしたの?
頭撫でてもらうんじゃないの?(キモいけど)」
「それがやっかいなことになったんだよ」たかしは軽く頭を抱える。
インリの力を解除したせいか、今まで八木沼が起こしてた行動が問題になり始めたのだ。
これまで不満を抱えていた勢力も騒ぎ出し、風紀が乱れてるということで、
校内全体の問題になりつつあった。
その火の粉は、たかしにも飛んできた。
それはつい先ほどの、学級会での一幕。
委員長の鬼姫が、あまり紛らわしい行動をしないようにとクラス全員に釘を刺した直後だった。
「そういえば、横溝も八木沼と絡んでいたよな」
クラスメイトの一人にそう言われ、たかしは慌ててしまう。
「いや、あれは単純に話していただけで」
「けど八木沼に土下座とかしてたよな?」
すると別の女子も騒ぎ出す。
「そういえば、大声で話してるの見たって友達が言ってた。
なんか女絡みでモメてたとか」
「いや、それは――」
しまった。ねとりがいない時でも八木沼に絡んだのを見られていたのか。
何か言い訳しようと考えていると、鬼姫がため息をつく。
「誰も彼も浮かれすぎです。
やはり規律を厳しくするよう、会長に進言するしかありませんね。
最悪の場合、男女の接触禁止まで考えなければいけません」
「そ、そんなのいくらなんでも横暴だろ」
声を上げるたかしに、鬼姫は冷たい目を向ける。
「規律を正すのが生徒会の役目です。
各自で抑えられないというのであれば、支配は単純な方法でしょう?」
さすがにクラスがざわつきだすと、鬼姫は場を収めるためか、少しトーンを抑えた。
「まあ、そうは言っても、会長は寛容なお方ですから大丈夫でしょう。
ただし、これ以上問題が起こるようであれば、覚悟なさった方がいいかもしれません」
そうして、様々な物議をかもしだした学級会は終了した。
たかしは深く息をつく。
鬼姫の奴、男女の接触禁止とか、どんだけ堅物なんだ。
そういうわけで、校内でラッキースケベを楽しむ余裕はなくなってしまった。
校外、放課後にどうにか楽しめればいいのだが、どこで誰が見ているかわからない。
コソコソやっていくしかないのか……。
ガックリしながら廊下に出ると、向こうに珍しい組み合わせの二人を見た。
それは鬼姫と、生徒会長の天成の姿だった。
さっそく先ほどの学級会の報告でもしているのだろうか。
つい二人の会話に聞き耳を立ててしまう。
「それで、調子はどうなんだい?」
「別に」
だが何やら様子がおかしい。明らかに会長と部下の話ではない。
何より、いつもは礼儀正しい鬼姫が、ため口を使っていることに驚いていた。
会長は気にした様子もなく笑う。
「つれない返事だねえ。何をたくらんでいる?」
「私は、私のやりたいようにやるまで」
「なるほど。ただし、あまりにも目に余るようなら……
その時はわかっているね?」
「フン……」
鬼姫は会長に目もくれずに立ち去っていった。
なんだ今の会話は。たかしは顔を引っ込める。
てっきり、いい協力関係を築き上げていると思っていた二人だが、
そのようなことはないらしい。
むしろあれは対立しているのか?
主人公同盟の件といい、この学園、一般生徒の知らないところで何かが動いている?




