非常識少女'M
「ユウマー! あーそーぼー……あ」
思いっきり強化魔法ぶっ壊して部屋に入る。
後で直すから気にせず飛ばした扉は、いい角度に、ユウマの腹にのしかかった。
「へぶっ!?」
予想外の一撃にユウマは悶絶、そこから3分の説教をされた。
「……で、お前何しにきたのこの時間に」
「夜這い!!」
「堂々というもんじゃありません」
チョップしたユウマは、ため息混じりにゲーム機を取り出してきた。
「ま、眠気は悲しいことに消えちまったし、遊ぶか?」
「うん! ソフト持ってきたよー!」
昔あっち側でユウマが語っていた『ゲーム』という娯楽に興味があって、この世界に来て少しした頃に遊んでみて、今の通りハマっている。ただ、数少ないユウカとの違いでもある。ユウカ、嫌いとまではいかないけどあまり遊んでくれない。
「お、おいこれ……限定盤の『カオスオンライン』じゃねーか! 確か明日発売じゃなかったか?」
「フッフーン! 実はそこの会社の出資にも関わってて、るーちゃんから先行で譲ってきてもらったの!」
「ルシファーがか……ま、それならやるか!」
「うん、やろう!!」
文字通り本格的なゲームスタンスは『オンライン』だが、一機種で二人操作できて、チュートリアルの《キャンペーンクエスト》や素材等のオフライン回収クエストがあるゲームで、『宇宙からの侵略者から人類を守る超次元SF』を題目に今、全国のゲーマーが今か今かと楽しみにしているものだ。
そんなものをよく……とマオの側近『ルシファー』に感謝と、恐らくせがまれたのだろうと同情して、ソフトを入れる。
「……てか本体買えよ。いつもここで遊んでるだろお前。金あんのに」
「えー、くる口実減るじゃん」
「だが、俺がやってる時お前遊べねーし。変わってやる気ねーし」
「いーの。その時はユウマの操作を見てるからー」
「ほんと、飽きねーな……っと、ほら」
「あ、レッドだー!」
と、ここ最近ゲームをやると知ったユウマが買ってくれた真っ赤なコントローラーを渡してくれた。ユウマは変わらず黒のコントローラーを操作する。
ちなみにだけど、ユウマは本当に昔から趣味が多く、このコントローラーも彼の予算内で塗装、加工して、ショートカットボタンまでつけた、まさに特注品。ユウマ的には「楽しかったからいい」と代金を受け取ってはくれず、その割に自分のはフラットだった。
本当に、いつも彼は他人のためには熱を上げてするけど、自分のことになると何もしない。信木の話でも入居当初はずっとカップ麺かおにぎりのみで、しかし見かねた信木の食事招待時「招待されたから」とご飯を作ったユウマは、隠していた家事スキルを発揮し、それを継続させ食生活を改善させようと、それから毎日朝昼晩は来るようになったと言っていた。
昔は自分で作って自分で食べていたはずだけれど、と疑問はあったけど、ユウマ曰く「異世界にコンビニねーから」だったらしい。ちなみに掃除等は普通にするらしい。「趣味だから」と。
しかしよかった。始めたのが深夜0時で、明け方4時まで続いたゲームはユウカの乱入で途中終了となったけど、今日は土曜日だから学校はない事を。
今日はユウカが作ってくれそうだけど、その前に意識が遠のいてきたため、そのまま正午まで二人眠りについたのは、まあ、当たり前のことだった。
昔なら、きっとこんな感じに眠ることなどできなかっただろうけど……。




