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魔王と勇者に好かれた者 [再修正しますm(_ _)m  作者: ヨベ キラセス
第一章 霧と監視に追われたもの
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役者集結 1

「クッソ、フラグ回収何処かでしたか!?」

「いいから走って!」


 数分前まで、バイトの話をして、悪友の陰口で笑ってやったのに、あの野郎実は地獄耳って魔法で聴いてたりしたのか?

 現在霧の中にいる。幼馴染のキキも一緒だ。あいつらが突然バイト休むとか言うから仕方なく出たが、まさか帰宅途中で『霧隠し』にあうとは。

「ヤバイぞキキ、オレ興奮が抑えられねー!!」

「バカーー!!」

 涙目でフライパンで天誅された。いや、この市の七不思議にまだ認定されたけど、本当にそのフライパン何処に隠し持っているの?

 走行していると豚が二匹、仁王立ちしていた。

「おいおいキキ、これ丸焼きにしたら商売できないか?」

「いいから! 逃げよ!!」

「やだね」

「ちょ、まさか!?」

 キキの焦りをあらわにした声と手を避け、オレは念じた。



 オレには前世の記憶がある。そしてそれを力にすることができる。

 誰も信じないだろうし、そもそも話したことはない。あの日、アイツの前以外では。

 前世のオレには悔いがある。オレには人望も、力もあった。だが、『ソレ』に対抗することは叶わなかった絶望が。


 なあ、チートって卑怯だよな? 


 片方だけ異能待ちって卑怯だよな?



『未来人』の科学って、チートだよな?



 オレはさ、科学が嫌いだ。機械が嫌いだ。

 人間に扱えない何かを引き出すことがいずれできる。

 人間を掌握できる力がそこにある。

 そしてそれを扱える技術者はのうのうとモニターの前で見物する。安全な、未来で。


 オレはそんな世界に使役された少女に恋をしたと思う。

 その子は強い。科学を必要としない、剣の才をもっていた。

 刀がまだ主流だった時代で、それは大きなアドバンテージで、でも、それよりも……。


 オレは、自分より強い少女を愛したと思う。でもそれは本当に力量とかではなく、純粋な内面で。

 だから強くなることを諦めず、何度も何度も挑んだ。


 力があれば勝てたのだろうか? 



 彼女みたいに、チートを持った上で実力があれば、こんな結末はなかったのか?



 だからあの日、あの晩、前世の記憶を引き継いで《輪廻転生》して五年の日、運命か宿命か同じ容姿の同名の同い年の、震えて捨てられた彼女を、二度と『キキ』を失わないと決めたんだ。そのためならあんなに嫌った神にだってすがってやる。全身全霊で護りなく。

 たとえ彼女に記憶がなくとも、全くの別人だろうと。




 だから、見つけた障害に全力を惜しまない。

「来い刀!!」

 無銘の刀が手に収まり、そのまま豚の首を切り落とす。同時に二匹を。

「ちょっとバカ! ユウマに止められてるでしょ!?」

 キキは知っている。これが発現したあの聖夜、ユウマとともに。

「それにあのあとぶっ倒れたじゃない!」

「……フッフッフ、何言ってんだキキ」

 しかし自信がある。確かにあの日はぶっ倒れた。が、


「あの日から鍛錬を怠ってない! いずれ魔法込みのユウマにだって勝つさ!」


「いいからしまいなさい!」

 わかってくれない幼馴染を持つと苦労する。オレは周りにいないのを確認し渋々……。

「……」

「まてわかった! 仕舞うから! そのフライパン納めろ!」

 こいつ怖い。なんだろうか、なんか別のキキはもう少し温厚だったんだけどなー。

「さて、行くか」

「…ッて何処に? 噂じゃ出られないって言ってたよね? 出口らしいところもないし」

「いや七不思議になった女がなにい」


 ゴンッ。


「よし、早く行こう! 住宅全体もぬけの殻だし、最悪どっかの家に入ればいいだろ? ほら、ブルーベリーな鬼さんもロッカーで隠れられたし! ま、七不思議さんのオーラ隠しができるかわから」


 ゴンッ。


「……悪かった。マジ泣きしながら次打装填しないでくれ死ぬから」

 ちょっかい出しすぎた場合、報復はでかいから気をつけようと、未来のオレに分かってもらおうと思う。

 そうこうしているうちに再び豚が現れた。

 いやね、別にオークだってわかるよ? オレ新作ゲームとかユウマに布教するからね。あえて『豚』って言ってるのは、あくまでゲーム感覚にならないようにだからな? あと文字数––––


 ゴンッ。




 しばらく歩くと、何故か高校がある坂道まで来ていた。

「……マジか。本当に七不思議系かい」

「ノブキ?」

「まてまて、お前じゃなくて天辺の木のことだ!」


 山の頂上には木が一本ある。それはどの木よりも大きく、多分テレビで流れる大木より倍はある。なにせ粉吹市の、昔唯一観光名所だったところだ。

『神隠し』の当時でも唯一客層が減らなかった木で、その坂の途中に高校があるが、山が広く、山そのものが一応学校理事長の私有地とされていると同時に観光名所になっていた。

 曰く、その木に近づくと御利益があるとされ、ポピュラーで縁結び、運気アップ、長寿……根拠ないが、そうだったと言う声が多くなったからこそ今も続いている。

 しかしここ半年は変わった。

『聖夜の魔法使い』騒動以降、観光に来ても賑わわない商店街が活気付き、今では一つのブームとなったためとされるが、ユウマは真逆に『人払いのようなものを感じる』と言っていた。

 何故そんなことが起きてるかとかはわからないが、力があると噂される木がある学校に、明らか遠い位置にいたオレたちが誘われるようにここへ足を踏み入れたのならば、あの木が『霧隠し』の原因なのか? もしそうなら、何故––––


「ノブキ!」

 キキの声に反応するのが遅れたのを、脇腹の激痛、そして瞬きしたときにオレの足が地をついてないことで理解できた。

「……ッの!」

 刀を取り出して、宙に浮く中でギリギリ豚を切り裂く。

 地面に激突した衝撃含め、動けそうにない。この痛みなら普通に折れてるか?

「ノブキ! ノブキ!!」

 揺するな、と声に出したいが出ない。泣くな、と拭いたいが手が上がらない。

 お構いなしな豚は同胞の肉を食う。そしてそれとは別の一体がキキの背後に迫るが、それに気づかない。


 ……だから、オレは切り裂いた。


「…へ?」

 まだ声が出せないが、オレは痛みに耐えながらキキを背負って坂を登った。


 オレは輪廻転生(••)した人間だ。よくあるだろ? 転生オプションってのがよ。

 オレにもあった。ここまでの大怪我は無かったから半信半疑だったが、幼少の頃から小さな傷の治りが周りより早かったし、いくら剣術を前世で鍛えたからって、知識程度でその域に戻るのは至難の技だったのに、オレは五歳で剣道で、大人の段持ちにすらかってしまえて周りは《神童》と呼んだくらいチートだった。

 魔法が使えたわけじゃない。ただ誰よりも身体能力が上だったのだ。

 だから今、あくまで痛みでの麻痺だけでおそらく打撲程度の脇腹の痛みを堪え、坂道を駆け上がる。

 だが、オレはそんな身体が嫌いだ。努力なしに、努力した奴らをあっさり超えちまうオレの身体が。だから剣道は三年続けてやめたし、運動部会に入ったりはしなかった。

 だが、不満や鬱憤は溜まり、中学じゃ手のつけられない不良になったりもしたし、色んな迷惑をかけた。

 結果、クリスマスの日に取り返しがつかなくなるかもしれない事件が起きた。


「ノブキ!」

「……たく、耳元で騒ぐな」

 ようやく学校に……つかない。どうやらループしている。

 事実、

「……マジかよ」

 と、先ほど対峙したと思われる豚の群れが、前方にあった。

「ま、いいか。『抜刀』!」

 出てきた刀で後方から二匹首を取り通る。

「なんか投げてきた!」

「マジか!?」

 ブオッと音がして咄嗟に左、右と飛び避ける。

 投げられているのは岩。腕力半端ねーな。

「まてよ、力持ちのデブ……まさか二次元系りょうじ」


 ゴンッ!


「……悪かったからけが人殴んな」

「あんたが悪いんでしょうが!!」

 しかしだんだん遅くなっているのを実感しているオレは、追い付きつつある巨体にどう対抗しようかと悩む。

 キキはある程度精神が安定してきた。ならオレが足止めすればいけるだろうか? 

「……無理か」

 しかしこいつのことはよく知っている。例え違っても、記憶がなくても、『文坂 綺紀』は剛情だ。彼女は絶対に逃げないし臆しない。


 それは剣の才をなくした今でも変わらない。きっと七不思議のフライパンで戦うだろう。

 そして、きっと––––


「……ねえ、あれ何?」

「…は?」

 走り続けていると、後方が少し煩さが増した。元々言葉は不明だったが、それは明らか動揺だった。

 そして、何か別の音が聞こえた。無機質な何かが。


 ブオオーン!!


「……んん?」

 オレは目を疑った。それは自衛隊が乗ってそうな高機動車。それが脇の森から豚を轢き殺した。

 さらに驚いたのは、その運転席に、いつも教壇で退屈そうに授業をしていた坂波先生だったからだ。

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