それでも…… 1
「……あれ、もうどうなのよ」
「ふふん! あれがユウマだよ!」
「なんで誇らしげなのあなたは……」
「ま、アレがなけりゃユウマは語れないだろうな」
「あなたもなのね……」
ボールを弾ませつつ、ユウマの性根もそうだが、心の底から誇ってる麻央と、頷く小中を見ていると余計頭が痛い。
本当に、彼が犯人なのか疑いかけている。あの性根、性格はだいぶ悪い気もするが、少なくとも人殺しすることを考えないタイプに見えてさえ来る。これが全て計算なら全く変わってくるのだが………。
「あのユウマさん、もう限界……」
「あ、じゃあ文坂は外野にいてくれ。おそらく外野にボールはほぼ来ないから」
「うんそうする……」
「………頑張る」
「おうガッツなッ! でも無理すんなよ」
「………うん」
「さて、期待してるぞハジメ!」
「ハハハ、ま、お手柔らかに」
あの打ち解け様、疑えないほど素なのだ。裏が読めないんじゃなく、裏がない。
こうして疑う私に対して、敵意どころか嫌悪すらしていない。むしろ……。
「そろそろよく見て見たら?」
ふと、麻央がささやく。
「……何が?」
「何がって……本当に敵意があれば対応するけど、今揺れてるでしょ?」
「揺れてる……か」
言われなくてもわかってる。今、私はどういう目で彼を見ればいいかわからないのだと。彼女はそれを見透かしていたことも。
「別に、ユウマのことを知った上で敵なら、あたしは容赦しないけど」
そこで彼女は一呼吸の後、
「……もし勘違いで、ユウマを悪者として見えていないなら」
そろで初めて、微笑んだ顔を私に向けた。
「あたしは、あなたと友達になりたいな」
その表情と、言葉を、私はなんと返せばいいか、分からない。
「……」
私はボールを構える。この言葉にできない想いを乗せて。
彼を今一度、見極めるために。




