裏返り 4
「……意外と簡単に見つかったわ」
「……みんなをどこに隠したんですか!」
「落ち着けコハク!」
ようやく電灯が無事だった通路に戻ると、後方からコハクが現れた。手にはもう杖はないが、白い玉が彼女の手の中に漂っている。
「……セイさん! あなたは本当に裏切ったんですか!!」
「違う! ……アルネスが私を裏切ったんだ」
「……違う…違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!」
コハクは頭を抑え蹲って、そして、
「……そうよ、全てが私の敵よ」
「コハク、本当に待て!!」
「そうよそうよそうよ! ……なんで私、みんなを助けようとしたんだろ?」
コハクの異常に坂波は歩み寄ろうとしたが、僕は止める。
「…離せ、ススノ!」
「無理。あれは『暴走』だから」
「『暴走』?」
無知で仕方ない。だって利用されただけなら説明など受けるはずないから。
そこで、コハクの魔法が数弾飛ばされた。
僕と坂波はそれを斬ったり撃ち消したりし、
「こ、の!」
僕はそのうちの一つを天井に放ち、天井は崩れ落ちた。
今回は生き埋めではなく直前で避けた。あくまで間に障害物を作って時間を稼ぐ程度だけど、その『時間』が欲しかったのだ。
「……ん?」
しかし同時、なぜが囲まれていた。それは人間にではなく、魔力の結界に。
「これ、あの子のと質が––––」
ついで結界が消えると同時、何かを感じて僕は坂波と共に壁側に飛んだ。
そして反対側の壁が、光に呑まれ、消えたときには広い廊下に変わっていた……。