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黒歴史の継承者 5
流石は大型闇組織の一人。ザースは距離をさらにとって魔法、そして左手から拳銃を交互に放つ。
しかし坂波は、見惚れるほど華麗に切り裂いていく。火球も、弾丸も。
「……ありえないありえないありえない!! お前がリッパーな訳がない!」
「そう思うならそう思ったらいい––––だが」
一瞬で坂波は位置を変え、故意的にそれた弾丸の斜線上に立って斬る。僕の、前で。
「……私の生徒にも、うちの部下にも手を出した時にその手は切り落とす」
「は、はは……守りながらできるわけ」
ボトッ
そこで、手が落ちた。もちろん奴の、拳銃を持った右手が。
「……あ、あ、ああああああああああ!!」
遅れてくる痛みと、その瞬間が見えなかったことに対しての恐怖が男を発狂させる。
「嫌だ! 俺はまだ死にたくねー!」
「……何言っているんだザース?」
叫ぶのをやめ、坂波が小首を傾げたのを真似る。が、
「……人殺してる地点で、私らはいつでも死んでんだよ」
その首はそのまま地面に落ちた。