「偽り」を持つもの
––––ユウマはどんな時でも笑っているけど
「どーした? 拳銃でもなんでも使ってこいよ!」
「……ウザい」
男は俺の懐まで接近し、しかし至近距離からの火炎系魔法に即座に距離を取る。
––––ユウマは『並列思考』や『魔力形成』を使うが
高速ではあるが捉えられないほどではない斬撃をかわし、俺は懐から『秘密兵器』を放つ。
––––それはユウマの薄い箱にいる術師の力であり、本来の力では無い。
「……リブ、今の俺が使える魔法は?」
『そーねー。傾向的に通常技、ひねくれ技が普通に使えるくらいかなー』
「十分すぎるぜ」
回答を踏まえ、魔力を『それ』に流し込む。
––––ただ努力と、最強の魔道書という強運が彼を変えたけど、それでも望んだからこそ最強になっただけ。
「へっへー、どうよこの威力!」
「……ヨーヨー?」
男の言う通りなんの変哲のないヨーヨーが二個、俺の手から放たれてやつのナイフに当たる。
弾き返された時に魔力を流すと、特注の糸が記憶された動きで本体を俺の手に戻す。つまり使いようによっては先端が鉄球のような鞭にも、縄のように巻き付けたりだってできる。
「……舐めてるのか?」
「いやいや、むしろ本気さ」
冗談じゃない。俺の持つ『魔道玩具シリーズ』の使用頻度一、ニを争う道具。異世界の王国騎士すら屠った武器なんだからな。
––––誰よりも強くなっても力を求めさせ、最後は世界の敵にまでさせた。理由は………彼が守ろうとしたのが『世界最強の少女』だったと言う人生一の不運だろう。