偽りの力 2
『サンドウォール!!』
どこからか聞こえた声の後、綺紀の背後で土の壁が身長の倍の高さで塞がり攻撃が届かなかった。
「ひゃー、危ない危ない! 何かあったらユウマに怒られちゃうからねー」
と今度は私たちの中心に盛り上がってくる土が、人の形となって色をつけて現れた。
しかしさらに真横から突然、今度は水の魔法が放たれて、
『ウインドウェーブ』
それを今度は気怠げに吹いた風に吹き飛ばされ天井に激突した。
土の少女の横に風が舞い、すうっともう一人の緑髪の少女がじとっとした目で現れた。
『……ノム、警戒が足りない』
そしてヒラッと手を横に一回転し、
「だから《幻影》に気づかない」
少女の風が、あたり一面の土煙と共に複数の少年少女の何かしら《視認出来ない》魔法を消しとばした。
「いやー、やっぱりシルは賢いなー! ワイは考えるの苦手やから」
と『ノム』と呼ばれた少女は両手を広げる。
「……目の前のことしかできないわやわー!」
瞬間私たちと、それを囲む少年たちの間に土の壁を隔てて全方位囲った。その強度は、外側の衝突音から頑丈なものとわかる。
天井まで囲わなかったため灯りはあり、私たちはマジマジと中央の二人をみたが、その二人もまた、ユウカとマヤに向き、何故かゲンナリし出した。
「……なーユウカ。そっちのマオじゃないよなー?」
「…金髪だからマヤ?」
するといつもどおり一拍の間の後ユウカは、
「………そう。マオは近くにいない」
その言葉に、今度は二人は安堵していた。