表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王と勇者に好かれた者 [再修正しますm(_ _)m  作者: ヨベ キラセス
第二章 幼女会長と暗殺者に思案したもの
180/273

理解して怖いこと 3

「あなたは––––」

 すかさず男は懐に忍ばせた短刀を斜めに一線。

 後方に飛び、しかしさらに左からも刀。右、左、足蹴り……。

 見た目の年齢とは違い、明らかに戦闘に手慣れているその動きに私は驚く。


 戦闘能力には自信があった。幼少からハジメと死と隣り合わせで生きていき、その間で独自の戦い方を確立し、そこいらの兵より強いとさえ自負していた。


 だが目の前の男は、見ただけで次元が違うことを理解する。あの夜とは明らかに雰囲気が異なり、その一つ一つの動きだけでも息をのむというのに、この男が纏う気は、勝てないと実感するには十分すぎた。

「......爪を隠していた、ということですか」

「知る必要はない」

 元々会話など無意味。男はただひたすら攻撃を仕掛ける。奥の手を隠して。

 今は逃げるしかないだろう。私はそう思う前に踵を返そうとした。

 だからとて逃げられない相手ではない。相手はそこまで執念を燃やすことはないのはわかっていた。



 大丈夫! 信じているから!!



「......」

 しかし止め、腰に隠したナイフを取り受け止めた。

「!?」

 意外とばかりに男は後方へと飛び、訝しむ。

「...今、なぜ逃げる体勢を止めた?」

「......それは」

 私はさらに一本、彼と同じ両刀構えに、

「私は執事。お嬢様の命を狙うとわかっていかせるわけにはいきませんから」

「なら死ね」

 既に懐まで男は近付き、既に短刀は首まで来ていた。

 反応できなかったわけじゃない。ただ『相手が上手』だっただけだ。


 その刀が届く前、側面の壁が吹き飛んだ。


 その瓦礫がそのままこちらに飛ぶため互いに距離を置くように飛びのく。

 壁は円のように崩壊し、土煙から人影が現れた。

 そしてその影は、この場に似つかわしくないほどのんきな声を上げるのだった。



「どーもー、演出家兼ヒーローでーす」


『平和湧磨』はニシシッと笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ