弱小タッグと最強タッグ 2
「––––テイッ!」
強烈、とまではいかないが一撃が頭に伝わる。
見ると、更識が右手を押さえてうずくまっていた。
「な、なにやその頭! 石頭すぎるでしょ!!」
「いや人様にチョップ喰らわせてなに言ってんだよ……」
と叩かれたところをポリポリとかく。
どうやら予想通り信木は文坂と、そして更識は一とペアを組んでいるようだ。
「おい更識、公私混合は良くないぞ」
「な、そん、そんなんじゃないわよッ!!」
必死に挽回したいようだが、お前、隠せてるつもりか?
まあ、当の本人は全く気付いていないようで、
「え、何かあるのかい?」
とあからさまにイケメンスマイルで話してきた。
「あー、この競技のペ––––」
「ちょーっとこっち来なさいユウマ!!」
口にする前に俺は引きずられるように少し離れたところに連れてこられた。
「いいユウマ、あんたはなにも喋んなくていいから」
「いや、せっかくだしここで距離を詰めるとか」
「いいから! そのおせ––––いいから!!」
いつになく真っ赤な更識は面白く、俺はちょっかいを続ける。
「まーまーサラシキ、俺らは別に一位とるかないし、なんならプッシュしてやるよ!」
「そ、そりゃあったら嬉し––––いいから何もしないで!!」
「まーまー、どうせ女の武器は無いんだからここで神頼みでも……」
とこれ以上の言葉が出なくなる。理由はもちろん、彼女の目がすわっていて、いつの間にかナイフが首元にあったから。
いや何とかできるけどさ、できるけどさ………わかるかな、たまーに力だけでどうしようもない時ってあるんだよ。今みたいに。
「……いいから、マジで殺すよ?」
「オーケー、もうしないからナイフしまえ」
流石に流血沙汰は今はごめんだ。
更識はため息と共にナイフをしまい背を向ける。
「……やめてよね?」
「ああ分かったって!」
……やはり女は怖い、そう思う今日この頃だった。