弱小タッグと最強タッグ 1
「お、ようやく解放か?」
「おう……なんつー爆弾投下しやがったんだあの馬鹿どもは」
元々午前最終種目だったため、アレからなにを考えてかファンクラブ連中に血眼で追われた。てか赤い涙流してた。
「いやいや、アレは傑作だったよなー! 多分煩悩荒ぶる男子諸君には『夜の魔王』みたいな隠語ニュアンスで捉えられたんだろうよ?」
「だろうな。ほぼ男子だった。……いや、最近じゃ麻央は半々か」
信木の言う通り、麻央が『ボクっ娘』と判明してからか、元々の男口調にもなってきたから女子にも人気だ。何せ運動系ならエース級だしな。
「いやー、ほんと大変だったんだね!」
「……ロリ 長か」
と後方からおさなげな高い声に振り向くと、やはりニコニコと、しかしどこか引きつった笑みをしていた。
「どうしたんすか会長?」
「……あはは、わかっちゃうかー」
と余計引きつった彼女は、
「…ところで、髪の幼なじみちゃん達は誰と組んでいるか分かっているのかい?」
「え、そりゃマオとユウカはペアだと」
「違うよ」
突然後方から即答されとっさに飛び退いてしまった。声の主は優華だった。
「…気配消して近づくなよ。忍びじゃないんだから」
「………面白いから」
とクスッと笑う優華に頭を悩ませるが、間も無く始まると言う中で彼女の隣にいたのは「舞夜」であることに気がついた。
「あれ? マヤが出るのか?」
「ああそうじゃ」
少しダルげにした舞夜。
「…ユウカは天然だからな、我かマオがペアでないと何やらかすか分からないからな」
「確かに」
「………失礼」
ぷくっとほおを膨らませた優華。俺はそれを突いてしぼませて、
「んで、マオはどうした?」
と聞くと二人と、会長は一斉に指を差した。
いまいち理解ができない俺はその指の先を見て、絶句した。
「……島釜」
ちょうど二人は足に鉢巻を巻いてそれぞれに体を動かしていた。
いや、なんであいつとマオが………。
「……あちゃー」
舞夜は額に手を当てて言葉を漏らす。
平和 湧磨 はフリーズしてしまった。