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×××
崩れる学校、木々の焼ける音、におい、視界……
力ある者が倒れ、力無き誰もが絶望する。
彼には敵わなかった。彼を止める存在はいない。
わたしは同級生の女の子の手を取る。彼女に力はないことを知っている。
信木のことを覚えている。周りの記憶もある。優華も○○も××も………なのに、その女の子の名前が思い出せない。
わたしは名前を呼ぶ。呼んですぐ忘れ、まるで自分じゃない誰かが喋り続けているようだ。
彼女は微笑んで、最後の力を振り絞る。
『……親…友………おねが…い………未来を––––』
『まって! まってよ! ま––––』
瞬間全ての時間が止まる。
ほぼ触れていた『平和湧磨』の『手刀』が、わたしの最後だと理解していた。
………ああ、わたしはまた繰り返さないといけない。この、終わらない終焉を。
『魔法』はまだ、見つからない。