『啓示』
『やあ友、久しぶりだね』
『……もう一回寝る』
オレは六畳一間の、畳とちゃぶ台の空間で茶を啜る男が誰か理解した時、再び横になる。
『フッ…君とわたしの間だが、相変わらずの『神嫌い』かい?』
『『神に恋する』とかどこの物語だ? 今の時代にそんなの自体ありえない』
『ま、近頃どこの神も信仰が薄くなったからね。自分の未来は切り開くもの、それが本来生きる上で必要なことだろうが、昔からそれすら神頼みときた。確かに力を与えることはあるが、それを有効的にするかどうかは、最後は持つもの次第なのだがね』
コトッと湯呑みを置き、お茶が似合わないイケメン顔の紫髪『ロキ』は、ニコニコいつも笑っている。
『……記憶がどうやら戻ったと踏んで呼んだのさ。君にはこれから起こることと対峙しないといけないからね』
『『魔王を従えた神』、お前らしい肩書きがつくぞ?』
『面白いじゃないか。ならいっそ神々に反逆するかい?』
『そこまで命知らずじゃない』
オレは仕方なく座る。
『…既に理解していると思うけど、今君の周りに』
『『伝説者』だろ?』
『流石っ!』
ロキはパチンと指を弾く。
『今、おそらくかなりの強敵となるはずだ。初陣でまさかラスボスクラスとは、君は運がない』
『なにいってんだ? ……むしろ運がいいだろ』
パンッ、と右の拳を左の手のひらに打つ。
『そいつ倒せば、ほかが雑魚いってことだ』
『……杞憂か。だが気をつけて欲しい。奴はかなり危険だから』
『おう、言われなくてもな』
オレは立ち上がり、ふすまに手をかける。多分これを開け、その先に行けば目が覚める。
『君と、今度はゆっくり話せることを期待するよ』
『男同士はごめんだな』
ふすまを開け放ち、飛び込む。
『……それに、あいつを救うまで終われるかよ––––』