『LOST END Ⅰ』
「……ここは?」
「なんだい、あまり驚かないんだね」
若い男がそこにいた。クスクスと、楽しそうに。
「…ここはどこだと」
そこで腰の刀がないことに気づく。
「貴様、刀をどこに置いた!!」
「いやいや、死人に武器は不要でしょ」
瞬間脳裏で、ここに来るまでに起こった出来事がフラッシュバックし、くらっと立ちくらみと共に倒れる。
「……そうか、なにも救えんのか我は」
あんなに豪語したのに、仲間をあんなに率いたのに、されど先の文明に蹂躙され、消却された。
「……して、歴史の異物の我は消える定めかの?」
「いや、君は選ばれたのさ、神にね!」
神、生前から信じず、必要なら遮断すら厭わない存在だった。だが、その神が我を?
「…っはははは! ないなないな!」
「綺紀を助けたいんだろ、生前の君は」
思わず襟を掴んでいた。男はそれでもニヤッと笑う。
「まあまあ、君がどんなに嫌っていても神は神。それに君とはやっていけると思うんだ」
「……なぜだ?」
「そりゃ、同じく神に疎まれた存在だからさ」
そこで襟を離す。奴は調子の良いことをいるが、嘘はなさそうだったから。
「さ、話そうか『真第六天魔王・織田信樹』。僕は『閉ざす神・ロキ』。君のサポーターさ」