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消炎 3
「…あ、マオ!」
ドアを開けると目が覚めたキキが笑顔で手を振る。
「あははごめんね! なんか熱中したのか貧血で倒れたって聞いたよ? 一応勝てたけど、その後担がせて申し訳ないわ!」
両手を合わせて麻央に謝る文坂は、見たところ予想通り抜け落ちているようだ。
俺たちは話を合わせつつ、俺は信木だけを外に呼ぶ。
「…で、なんでキキが狙われたんだ?」
「わからない。情報はあくまで『お嬢様組』だけしかなかったからな」
「あとは『俺』だが」とはあえて言わないが、どちらにしても文坂が狙われるはずがなかった。
そこで俺は試しに信木に、今まで踏み込まなかったことをあえて今一度踏み込んで見ることにした。
「…なあ、お前って、確か『前世が見える』とか『神にあった』とか、クリスマスの時に言ってなかったか?」
「……その話は今関係ないだろ?」
かなり嫌な顔をするあたり間違いない様子だ。
「いやあるかもしれない。……敵はもしかしたら『転生者』、それも名のある類だ」
信木は数秒考え込み、そしてようやく閉ざした口を開いた。