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『未来を見る少年、過去を壊す少女』
『君じゃ変えられないとしても、この道を行くの?』
『ああ、もちろんじゃ!』
黄色い着物を着た少女は涙を流す。
『...まだ、あなただけ助かる方法がある。......私と一緒に———』
『いやじゃ』
少年は力強く宣言する。それを少女も全力で止める。
『あなたは私より弱い! 刀で一度も勝ってないじゃない!!』
『そうじゃな。オナゴに負ける剣士など、恥かもしれぬ。だが!』
少年は少女の手を取り、引き寄せる。少女は見開いた眼で少年を見る。
『ぬしには必ず勝つ! ぬしより強いことを証明し、ぬしを我のものにする!!』
少年の告白に、少女は涙を流しながらやさしく微笑んだ。
『いつか、私を助けてね?』
少女がここにいるのは『彼』という歴史に存在しない過去を殺すため。
少年が彼女の手を取るのは『彼女』にないと言われた未来を掴むため。
それが少年と少女の運命の終わりと、叛旗の始まりだった
そして、銀時計の針が刻み始めた日