非常識の衝突 6
「お前......どこに着地してやがる。『座って』って強調したろ馬鹿」
「いや、それオレの息子つぶすだろ!?」
「潰れちまえバカ!!」
口論しつつ信木はスルッと肩車の体勢に入る。
「...そんな無謀な」
綺紀がかなり驚いていたが、この非常識になれたからかすぐに警戒した。
それもそうだ。現状確かに普通の騎馬戦方式なら彼女たちの機動力は勝ったが、現在それをさらに凌駕するように俺が単身で騎馬をしているのだから。
「キキ、まだ大丈夫よ!」
「.........行く」
先制は綺紀だった。
「このッ!」
「なんの!」
『!?』
スルッと綺紀の手を避けた信木がすかさず手を伸ばし、麻央と優華が早い判断で下がって距離をとる。
三人とも驚く中、同じく俺もビックリしつつ、歓喜に満ちる。
「お前、よく判断できたな!」
「...なめんなよキキ、今までは俺に対応できる騎馬がいなかっただけで」
信木はしたり顔で指をさす。
「いつまでもお前の天下と思うなよキキ。......お前を今日、越えてやるから待ってろ」
最後の方、信木の声はどこか、彼女ではない誰かに向けた怒りを感じたのは気のせいか、俺は少し考えてしまった。