非常識の衝突 3
「悔しい!!」
「あらあら、淑女としてどうなのかしら?」
更識は地団駄を踏むが、それを環が嘲笑う。
更識は、そんな態度の環に食いさがる。
「あんたは悔しくないの!?」
「悔しいですわ」
即答だった。彼女の言葉に、更識はこれ以上口を開かなかった。
環は向き直り、俺たちを見て指をさす。
「…ですが本来、このような突然に対して、それは適材適所、臨機応変が試される所であったはず。それがあと一歩足りなかっただけ。しかしまだ一年、来年は負けませんわ!」
彼女の自信に満ち溢れた表情に、俺も彼女に指を突きつける。
俺たちはきっと、普通じゃかなり卑怯なことをした。だがそれでも自分を反省できる彼女は強く、俺も敬意を持って今、この場での悪を突き通すことを誓おう。
「フッハッハ! 俺たちの結束は誰にだって負けるかよ! 来年と言わず明日の他の種目で正々堂々決着つけてやるから覚悟しておけ!」
「あら、それは楽しみね」
と笑い、
「……さ、トモエ、カスミさん、ミハルも行きましょうか」
彼女の言葉に三人は一緒に入場門へと姿を消した。
「………」
ただ、一瞬だけ美空がどこかを見ていたのを、俺は見逃さず追った。
「……B組入場門だ!!」
「なに!?」
俺の突然の言葉に瞬時に反応した三人は回頭、そのままB組入場門に向かう。
確かに見えた人影を追って、正面に立った俺たちはさらに驚愕した。
「……な、んで」
目の前にいたのは、カナコだけだった。
そして奥から足音が響くが遠く、しかし矛盾するように何処かから近づく足音が、俺たちの心臓をバクバクさせる。
なにを見落とした。そもそもなぜここにカナコだけがいる? 他にいるのは三人だけのはず………
そんな俺の心情を読んだのか、カナコはにこりと告げた。
「……チェックです、ユウマさん」
上空から、四本の足が落ちてきた。