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「……ドームに、か?」
『ああそうだ』
男の声に、俺は聞き返した。
『予想だが、平和湧磨はドームに戻る。そこを狙撃しろ』
「……何故貴様の指示に従わないといけない」
『上の者には敬意を示せツカサ』
「貴様は上司でも仲間でもない。……俺を指示できるのはセイさんだけだ」
『なら、そのセイのためにやれ』
「……貴様何をする気だ?」
『さあな。だが『アルネス』が白か黒か判断できるお前なら分かるよな?』
「……何かやれば噛み殺す」
『それは貴様の頑張り次第さ』
「………」
ブツリと電源を落とし、銃を手入れする。
歓声高まる会場のモニターにかける平和湧磨に、スコープを合わせる。
「……殺す。あの人のために」