後払いは利子がつく 1
「…お主もよくもまあ、命知らずな事をするな」
優華たちと別れた舞夜は、角で隠れていた俺の気配に早くも気づかれた。
「逃げた後は怖いぞー?……助けぬからな」
「大丈夫だ。少なくとも運動会内で問題は起きないだろうさ。終わったらトンズラするだけさ」
「……そううまくいけば良いがな」
何を気にしているのかは知らないが、俺は土を払い、その足で自分の組へ向かった。……いや、身代わりじゃないよ? ちゃんと後で間に合ったら助けるし………間に合ったら、だけど。
「おうノブキ、調子はどうだ?」
「……いいと見えるなら節穴だなお前」
信木は苦笑して周りを見るよう促す。
全体的には活気はない。それもそのはず、クラス分けの基準としてAは頭脳に、Bは運動に振られていて、Cは準落ちこぼれの集団。
言葉だけならまだA組には勝てるかもしれないが、
「…あれ見てみ?」
運動会では珍競技があったりするが、注目校であるここでは陸上競技も多く入っている。
信木が指したのは天井に謎に設置されたモニター。二年の『ハードル走』。
「……マジか、スゲーな」
「…オレらアレを相手にしないといけないんだよな」
そこに映し出されていたのは二年A組の島釜が群を抜いて一位を取るまでの映像だった。
「……事実、傘木と煤野妹はそれなりに運動できるって話を聞いたぞ。どうすんだこの窮地!」
クラス対抗戦のため、特典はアルファベット三組分しかなく、現在映されていたのは、
【A組 30
B組 30
C組 10】
「……ちなみにだが、三位は無得点か?」
「いや、それでも得点あるぞ」
絶望的じゃないか、我が軍は。