説教 5
「ちょ、ユウ兄の頭が!?」
湧磨の頭が胴から離れ、芝生に落ちた。
僕はさらに胴へ蹴りを喰らわし、今度は瓦解する。
「え、え、え??」
「『幻影破壊』」
バリン、と『湧磨だった何か』の下にあった術式が壊れ、その下にはどのぐらいか分からない深さの穴があった。
「……深いねー」
「そーねー、ユウマってこう言う時に悪知恵が働くんだけどねー」
と、今度は淡い黄色の薄着の少女のところに立った。
「ねー、ノーム? 何か知らないかなー?」
「さ、さーねー」
土の精霊王『ノーム』はだらだらと汗をかきつつ、下手な口笛を吹いて気をさらそうとする。
「…そう」
まあ口は割らないか。小柄ではあるが、これでも精霊の長の一人。
パチン、と指を鳴らした。
「へぶ!?」
瞬間彼女は重力に押しつぶした。『重力潰し』だ。
この程度では死なない。一応周りにも二分の一程かけていて、だけどそれだけで精霊王を脅すには充分だった。
「わかったわかった!! ボクらがやりましたー! いくら死なないからってこれは死ぬよ!? 助けてマオ!!」
「…最初から言えばいいのに」
僕はパチン、と重力が解け大きく呼吸をするノーム。この魔法は若干酸素が取りにくくなる空間にもなるので応用が効くのだ。
するとミサが目を輝かせるのを横目で見えた。…なるほど、確かにこんな顔されたら湧磨も調子乗るかもしれない。
まあ、許さないけどね。