もう一つの犬猿 1
「……これは、中々に…」
現在午後1時過ぎ、ユウマは一人ファミレス《キャッツ》にて、《ネコバーグ チーズ山盛り》に舌を唸らせている。どうやら彼の口にはよくあったようで、その工程等を熟考しているのだろう。こうして彼ユウマの料理スキルは上がるが、無言の上、しばらくの間声も届かずペースもゆっくりのため少し退屈になる。
ふと、同時に食べ終わったユウカに話を振ってみることにした。
「そういえばね、家族だとよく『学校の成績』とかを話題にするって聞いたの。ちなみにユウカはどうだったの?」
「………普通。あの頃と変わらない」
「あの頃って……まさか満点?」
「………うん」
ああ、我が妹は天上の存在とは。この子一緒の異世界人なのに、まさかここでも優秀とは……。
「ぼ...あたし《..》だって九十点超えただけで嬉しかったのに、マジかー......」
一緒にもう勉強したのに、結局負けてることに悔しくなるけど、そんな私の顔を見ると不服そうにした。
「.........マオこそ、体力テスト優秀って言ってた。私クラスではそこそこ。羨ましい......」
「......お前ら喧嘩売ってるのか?」
と、ようやく食べ終えたユウマが、すごく不機嫌なジト目で見てくる。ここだけの事、写真に残したいレア表情だった。
「ユウカ、まずお前のイディオの役職考えろ。そこそこなわけないだろ。そしてお前にも同一の言葉を送ってやるぞマオ。何か? 現地人で男の俺が劣ってるのを遠回しにバカにしているのか?」
「そうね、そこの規格外もそうだけど、あなたのそのバカは本物なのかしらね?」
ユウマの言葉を遮った声の主は、突然現れたと思ったら無理くりとユウマの隣にどっしりと座った。
ユウマが嫌がったから仕方なく、本当に仕方なく対面に座ったのに、突然間をわってその上その隣に座る『更識 霞』に嫉妬の念を送る。
「.........誰?」
そういえば、更識は恐らくユウカとは面識がない。彼女はB組で、ユウカはA組だ。
「ユウマのストーカー。いい迷惑よね」
「だ、誰がストーカーよ!!」
逆上する霞をユウカは静かになだめる。
「.........姉がすいません。私『傘木 優華』と言います」
何となく理解したユウカは優しく接する。やはりユウカは少し警戒することを知るべきだと思うと、
「あね? でもあなた達って苗字が––––」
と混乱し出した。どうやら個々でしか把握してないくらいには無能なのだろう、彼女の情報元は。
「別に、親の旧姓を片方につける事だってあるでしょ?」
隠すつもりもない為打ち明ける。
「......それよりも、もう嗅ぎ回んないでって、遠回しで言ったつもりだけど分からなかったのかしら? 何ならはっきり言ってもいいのよ?」
「あはは、そんなことで引き下がるって甘く見られてるのかしら? 生憎と、そうは問屋を下させないわよ」
一触触発、そう自覚出来るほどの臨戦態勢にユウマはため息を溢し、ユウカは少し困惑し出した。