悪ノリは程々に 2
「お、今日は頑張れよ!」
商店街ではいろんな人に声援を受け、喫茶カミキの前を通った時に店長の激励、そして亭主のお裾分けのトンカツパンを、バイト人数分詰めた袋を手渡される。
「…ところでユウマはどうした?」
「ははは……あいつここ3日帰ってないんだよ」
オレがそう言うと、過去のことで思い当たることがあった店長はコソッと耳打ちする。
「……またあいつ、何かに巻き込まれてんじゃないでしょうね?」
「さあ? オレに聞かれても」
「…まあ良いわ。頑張んなさい」
不意打ちの如く強い一撃を背中に受け、オレたちは学校への坂に入っていった。
校内はかなり賑わっていたが、それ以上にすごい光景を前にオレたちは門前で止まってしまった。
「おい、これどこやればいい!」
「黙れ脳筋。トラックに詰めと言ったろ」
まずは玄関口で騒ぐギンキと、ここ最近行方知らずだったはずのルシーがいた。
「バクさん! それは私の仕事です!」
「いえカナコどの、女子にこのような重い荷物を持たせるわけにはいきません。ハンサどの、これもトラックですか?」
「ええ。バクさんのおかげで捗ります!」
「いえ、これも罪滅ぼしの一環ですので!」
鼻と耳は人間だが、それ以外の特徴がそのままな四天王バク、そしてカナコに細身メガネのハンサがアーチを運び出していた。
「ルぅシふぁあああああああああ!!」
麻央は途端、全力でルシーに駆け込み、衝突した。まあ実際は抱きつき、体制崩して倒れただけだが。
「ま、マオ様!?」
「心配したんだよルシファー! なんで連絡くれないのよ!!」
「マオ様! まず私はルシーだとあれほど!」
「ルシぃいいいいい!」
しばらくは感動の再開の時間となった。
「…で、あんたら両勢力を束ねられる奴は、まああいつしかいないな」
当然の結論。こんな事するのはあのバカで決まりだと一同納得する。
積み終えたギンキとバクも会話に混ざる。
「まあ、アイツじゃなけりゃ俺らもこのもやし女とつるまねーよ」
「おやおや、それはこちらのセリフですが?」
一触触発は未だ健在だ。
「……ってアイツはどこなんだ?」
「その事ですが」
とハンサは地面に地図を広げた。
「僕たちが以前、あの巨大オークと遭遇した地点を覚えていますか?」
「……忘れはしないさ」
ようやく一が口を開いた。一応言うが、智もいるぞ?
一は地図の一箇所を指差す。
「地形は森。それも学校からそれなりに離れた場所。おおよそ一キロってところか?」
「そうです」
といい、地図をしまいながら続ける。
「あの後、その場の後処理は終えましたが、所有者ミサさんの意思でその後、『新体育館』が建設されました。
『……………はあああああああああああ!!』
一同、絶叫した。