仲良し主人と、犬猿なる右腕 2
「ゆ〜う〜ま〜、これどうかなー?」
とダボった赤パーカーの麻央が、これまた少し薄い赤のカーディガンを持ってトコトコやってきた。ユウカはその間も、真央と同じ型のカーディガンの白と青で熟考していた。
「ああ、お前らしさが出てて似合うと思うぞ。ちょっと着てきたら?」
「うん! そうするー!!」
と足早に試着室に入って行った麻央と入れ違いに、いつの間にか試着していたユウカが、試着室から「ユウマー」と呼んでいた。
「へー、白か青かと思ったが……それも悪く無いな」
「………うん…これにする」
と、黄色のカーディガンを脱ぐためカーテンが閉ざされ、
「じゃーん!! どうどうユウマー!」
とついで麻央が開けてポーズを決めていた。
「おう、お前も十分似合ってるぞ」
「へへへっ……着替えるね!」
上機嫌な麻央は再びカーテンを閉じた。
「……昔より扱いうまくなってねーか?」
「さーね」
ギンキは後方で呆れ気味に呟かれた。いや、一応本心だし、むしろ感想しぶったらマジで長そうだと、数ヶ月前の信木と綺紀の買い物事を参考にして生かしただけだし。あの日信木がまともな感想出さなかったから時間かなりかかって、その上綺紀はすごく機嫌悪かったし。
「てか、お前らもなんか感想言ってやればよかったろ。な、ルー」
「私はどんな服の麻央様も最高だと思います」
真顔で鼻血出された。ルシーは凄く真央を溺愛している。マジで狂気じみてるくらいに。
「ほら鼻血ふけ。周りの視線が痛いから」
見た目に似合わずポケットティッシュを渡したギンキは、凄く嫌な顔で周囲を観察していた。
「……くっ、この男にそこまでの常識があったとは遺憾ね」
「鼻血女の方が遺憾だろが!」
渋々受け取り鼻をおさえるルシーは、これまた悔しそうにギンキを睨みつけていた。
完全に仲が悪いわけでは無い、とユウカは言っていたことがあるが、やはり俺には犬猿にしか見えないのだった。