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「ん? どうしたの」
「………マオ、早く」
二人が前方にいた。今日は霞と優華、舞夜、そして綺紀と僕の五人で下校していた。
結局湧磨は見つからなかった。
最近湧磨と一緒にいない。彼はすぐ家を出ているし、帰って料理作ったらすぐ寝てしまう。
ここ数日は特に会話できなかった。
運動会の事、会長との事、五月の連休の事……話したい事はいっぱいあった。
湧磨、君は今どこにいるの?
『おいノブキ、置いてくぞ?』
ふと、幻聴が聞こえた気がする。
僕は校門の周辺を見回した。
霞と優華には聞こえなかったようだけど、綺紀は一点を見て止まっていた。
僕もそこを見て、目を見開いた。
薄らだったけど少女を背負った小中と、目があった。
彼らはその後逃げるように立ち去った。その先には湧磨も見えた。
「あ、マオ!!」
「ちょ、キキまで!」
三人の声を背にかけ出した。
坂を駆け下りたけど、その先に彼らはいなかった。