魔法世界に探偵は要るか 3
17:36 高校校門付近
「まじで誰も見ねーな」
下校する生徒たちの中にいるオレらは、どうも若干の人除けもあるようで、無意識に当たらないように避けられていた。
「目が合わないわねー」
椎倉は感心し、葉坂は今回オレに肩車させられた。
湧磨は双眼鏡で校舎を覗くが、今のところ見つからないらしい。
「おっかしーな。たしか今日は運動会の最終確認とかで生徒会は活動しているんだがな」
「じゃ、私は定位置に戻るね」
椎倉が踵を返す。
「定位置?」
「そ。ユウマに監視カメラをジャックして確認してって話だからね!」
「犯罪じゃねーか!!」
なんだよ、前科持ちたくねーんだけど!
そうこうしていると椎倉はささっとそ場を去っていった。
18:14
『アルファー、ゲート前』
スマホを常時通話中にしていたためバッテリーが心配なんだけど。
「オーケー。キティー、サム、ゲロ、配置につく」
「待てやコラ!!」
オレは突っ込まずにはいられなかった。
「てめー、オレのことだろ『ゲロ』って!」
「わかった。じゃあ『ペド』」
「分かったテメー今日決着つけてやる」
『おいおい、なんか来たぞ!』
一色触発な展開は起こらず、オレたちは門を越えた島釜を追う。
ふと、オレは何か視線を感じて振り返る。
「…………」
「……なあ、これって異世界人にも見えないよな?」
「何言ってんだ。俺らは俺らにしかわからねーって。いいから早く来い」
「ああ分かった…」
オレは駆けた湧磨を追いつつ、上にいた葉坂にそれとなく聞く。
「……なあ、明らかバレてなかったか?」
「何言ってんの?」
葉坂は口調こそは普通だったが、
「……アレめっちゃ見てた」
手は震えていた。