第1話
のどかな村の景色を眺めながら僕は今、
祖父が運転するトラックに乗っている。
僕は中学2年生の如月紅蓮。
今日から夏休みなのだが母親が急に出張に行く事になり、田舎の祖父母宅に預けられる事になった。
「もうちょっとでつくからなぁ〜」
と祖父は笑顔で言う。
「うん。楽しみだな…」
僕は外を眺めながら呟いた。
この村、四葉村は何もないところだ。
魚屋に駄菓子屋、学校に図書館、それに集会所。後は家が8軒あるぐらいだ。
でも、僕はこの土地がとても気に入った。
なぜなら、まず第一に自然が多いことだ。
僕の住んでいる所は都市なので、空気が汚れている。しかし、四葉村はとても空気が澄んでいて清々しい程だ。
二つ目は同じ世代の子供があまりいない事だ。僕は三白眼のせいで同級生から嫌われていた。その事がきっかけで、歳が近い子は好きではないのだ。けれど、この村はお年寄りばかりなのでほとんど会う事はないだろう。
「さぁ〜!ついたべ!紅蓮、降りな!」
そんなことを考えてるうちに家に着いたようだ。
僕は車から降りて、夏休みの間住む家を見上げた。
これからどんな生活が始まるのかー。
そんな期待を胸に抱きながら
僕は玄関の扉を開けた。