第二話:サービス開始、待ち合わせ、魔法。
「誰かー!パーティー組みませんかー!!」
「タンク役募集してまーす!」
「魔法特化の方いませんかー!?」
意識が浮上し、最初に認識したのは、他のプレイヤーたちのそんな叫び声だった。
僕が立っていたのは、中央広場の入口だった。周りには、木造やレンガ造りの大小様々な建物が立ち並び、広場や大通りには、石が敷き詰められている。
「ウッハー!来た来たー!!」
今の日本ではまず見ることができない、正に【中世の町並み】である。そしてそれ以上に溢れかえる人、人、人……
「うわー、スゲー、一万人は伊達じゃないな~。」
流石に、一万人全員がログインしているわけでは無いだろうが、それでも数千人が、今このゲームに参加しているだろう。
「おっと、そうだ、瑠花を探さないと…」
瑠花を探して、広場中央にある噴水へ向かっていると、
「お兄ちゃーん!!」
そんな妹の声が聞こえてきた。お、居た居た
「おう、お待たせ。」
そう声をかけながら、瑠花のもとへ向かう
「お兄ちゃんも名前変えなかったんだね~」
「まあな、そういうお前もか」
瑠花のアバターネームは『ルカ』となっていた。
「ふーん、お兄ちゃんは「拳銃」と「忍者刀」のスキルを取ったんだねー。相変わらず遠距離武器が好きなんだ」
なぜ、瑠花が僕のスキルを(間違えているが)予想できたかというと、初期装備を見たからである。
この初期装備というのは、選んだスキルによってかわるのだ。
現在僕の装備は、白の長袖シャツ、黒い長ズボンに黒のロングコートを着ていて、手には白い手袋を嵌めている。靴は、革をベースに、「就脚術」の影響か、爪先と踵、靴底が、金属のプレートで覆われている。腰にはハンドガンが、ホルスターに収まった状態で左右に一丁ずつぶら下がっていて、腰の後ろに、二振りの忍者刀がくくりつけられている。
「惜しいな~ルカ、「拳銃」じゃないんだよ。」
「え?でも、ハンドガン持ってるじゃん」
確かにその通りであるが、今、僕のアイテムボックスには、「狙撃銃」一丁「突撃銃」一丁「散弾銃」二丁「短機関銃」一丁が入っている。
「僕は「銃」のスキルをとったんだよ」
引き伸ばしても意味がないし、面倒なのでさっさと公開した。
「え?あのアーツ無いやつ?ウワァ、馬鹿だー(笑)」
「はっ!何とでも言うが良い、ちゃんと対策は練ってあるわ!」
「え?どんなどんな?」
「教えなーい(笑)」
「素直に聞いた私が馬鹿だった!」
そんな馬鹿話をしている内に広場の人が減り始めていた。
「ところでルカよ、お前はこれからどうするんだ?」
「私は、ソロでフィールドに出るつもりだよ」
「了解。僕は「訓練場」に行くから、別行動だな。」
「うん、分かった。じゃあ、フレンド登録して別れよっか」
「じゃ、申請出すよ」
そうして、お互いにフレンド登録してから僕たちは別れた。
「さて、じゃあ「訓練所」行きますか。」
そして、道中これからの予定や、アーツの構想を練っていく。
「やっぱり、まずは「空間魔法」だよなー」
今考えている戦い方において、この空間魔法というのは必要不可欠となるものである。
「まずは、収納魔法を作らないとな」
しかし、今更ながらこの「空間魔法」、現象を想像するというのが難しい。
「あんまり難しく考えないでやるか」
というわけで、想像するのは、昔、アニメで見た、魔方陣に物を突っ込んだり、引っ張り出している様子である。
「確か、想像しながら魔法の名称を唱えるんだっけ?」
名前は…「収納空間」でいいか。ネーミングセンスが無いのは解っている。分かりやすさが大切である(言い訳)。
「『収納空間』!」
すると、目の前に淡い水色に輝く魔方陣が現れた。
「おお!これに突っ込めば良いのか!?」
取り敢えず、アイテムボックスから取り出した、散弾銃を入れてみる。すると、ちゃんと魔方陣は散弾銃の銃身を飲み込んでくれた。
「ん?これどうやって閉じるんだ?」
どうやら、開閉にはキーワードがいるらしく、無難に「オープン」と「クローズ」にしておいた。
「じゃあ、ほとんどの武器は、この中に入れておきますかね」
僕は、ハンドガン一丁と忍者刀一本を残して、後の武器を全て収納空間にいれると、 「クローズ」のキーワードを唱え、魔方陣を消した。
「次は移転系だな。」
取り敢えず、短距離移転から作ることにした。イメージとしては、二つの魔方陣を作り出し、それを繋げる感じだ。先程の収納空間で分かったが、かなり曖昧で適当な想像でも、結果がしっかりと想像できていれば魔法は作れるらしい。
「よし、『短距離移転』!」
すると、目の前と、数メートル先に先ほどと同じように魔方陣が現れた。
「これを潜ればいいのか?」
その魔法陣をくぐった感想だが、水に潜る感覚ににていた。魔法陣を境に景色が変わるのである。右半身だけ入れてみたときは面白かった。
「ふーん、位置とか出る方向も変えられるんだな。範囲は、目に見える範囲か」
そうこうしている内に、訓練場に到着した。
訓練場は塀に囲まれたグラウンドのような場所である。金属鎧を着た案山子なんかも置いてあり、アーツや、魔法の練習もできるようだ。
「よし、アーツ作りますかね!」
訓練所を訓練場に修正